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京都大学は2月2日、イエネコの移動経路・各品種の起源を解明するための有用な指標となる内在性レトロウイルス(ERV)を発見したと発表した。

同成果は同大学ウイルス研究所の宮沢孝幸 准教授、医学研究科博士課程学生4年の下出紗弓氏(日本学術振興会特別研究員 DC2)、東海大学の中川草 助教らの研究グループによるもので、2月2日付の国際学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

イエネコの祖先は中東に生息するリビアヤマネコであるとされており、約1万年前に農耕の発達と共にねずみ対策として家畜化され、その後貿易商人やバイキング、仏教徒などと共に世界を旅したことで世界中に広がっていったと考えられている。しかし、どのように世界各地に移動し、約100種もの品種が作られたのかは明らかにされていない。

研究グループが着目したERVは、生殖細胞にレトロウイルスが感染すると、ゲノムの一部として子孫へ遺伝する。宮沢准教授らは、全てのイエネコが保有しているERVである、RD-114ウイルスの分布を評価することで、ネコの移動過程を解明できると考えた。

その結果、アジアのネコは約4%しか保持していないRD-114ウイルス関連配列(RDRS)を、欧米では約半数が保持していることが判明。このことから、中東で家畜化したイエネコのうち欧米へ向かった一部の集団にのみこの新しいRDRSが侵入したと推測された。

また、ヨーロピアンショートヘア(ESH)、アメリカンショートヘア(ASH)、アメリカンカール(AC)は共通してE3染色体にRDRSを保有していた。ESHの元となったスカンディナビア半島のネコはイギリスへ渡った後、メイフラワー号に乗ってアメリカに上陸し、ASHやACが作られたと言われており、新しいRDRSが各品種の起源を知る上で有用なマーカーとして使用できることがわかった。

研究グループは今回の成果について、RDRSはイエネコの起源・歴史を解明するだけでなく、品種ごとの特徴・違いの理解にも役立つとしている。