米女子ツアーの2015年シーズンが開幕した。

 期待するのは日本勢の活躍だが、2014年シーズンは振るわなかった。賞金ランク47位の野村敏京と、同64位の上原彩子は、今季(2015年)ツアーの大半に出場できるシード権(80位以内)を得たものの、これまで賞金ランク上位の常連だった宮里藍(86位)や宮里美香(91位)、そしてツアー参戦2年目の有村智恵(106位)は下位に低迷。各トーナメントで上位争いに加わることも少なく、今季はそれぞれの賞金ランキングによって、限られた試合しか出場できなくなってしまった(各大会の参加できる人数などによって、出場できるかどうか決まる)。

 それにしても、かつて世界ランク1位にまで上り詰めた宮里藍の不振には驚かされた。昨季は、7戦も予選落ちを喫して、トップ10入りさえ一度も果たせなかった。宮里藍にとって"生命線"となるショートゲーム、特にパッティングの不調がその原因と言われている。しかし、ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏は、それだけが問題ではない、と語る。

「宮里藍が低迷した最大の要因は、彼女自身のゴルフに対するモチベーションが一気に下がってしまったからではないだろうか。

 というのも、今や女子も、世界のゴルフは"パワーゴルフ"に変わってきた。メジャー初戦のクラフトナビスコ選手権(4月3日〜6日/カリフォルニア州)、第2戦の全米女子オープン(6月19日〜22日/ノースカロライナ州)を見ても、ナビスコ選手権がレクシー・トンプソン(19歳/アメリカ)、全米女子がミシェル・ウィー(25歳/アメリカ)と、ともに飛距離のある選手が制した。もはや、ティーショットでは平均260〜270ヤード飛ばすことができて、セカンドでは高い球を打ってグリーンに止められる技術がないと、女子もメジャー大会を勝てなくなってきている。

 そうなると、飛距離のない宮里藍が勝つのは、さすがに難しい。近年、彼女はメジャー制覇を目標に掲げてきたけれども、その現実を目の当たりにして、彼女の『勝ちたい』『勝とう』という気持ちが、昨年は萎えてしまったような気がする。一時代を築いて、年齢も重ねてきているし、今さら自分のゴルフをガラッと変えることも難しいわけだからね。それを求められることさえ、彼女にとっては酷なことだと思う。

 もちろん、それでも『かんばろう』と思って、高いモチベーションさえあれば、ゴルフは勝てる。昔、ジャンボ尾崎や青木功が出てきた日本の男子ゴルフ界において、その中で奮闘したベテランの杉原輝雄などはそのいい例。だけど、そういうふうになるには、本当にモチベーションを高める"何か"がないとダメ。新しい目標はそう簡単に見つけられるものでもないし、昨季の宮里藍にはそこまでの気力はなかったと思う」

 今季、巻き返しが期待される宮里藍。まずは、モチベーションとなる"何か"を見つけられるかが、浮上へのカギになりそう。そして、三田村氏はこう付け加える。

「宮里藍は現在、スイングの調整段階にあると聞いている。何にしても、重要なのは"パワーゴルフ"にどう対応していくのか。それが、実現できるかどうかが(復活への)大きなポイントとなる」

 一方、宮里美香や有村智恵は、宮里藍に比べてモチベーションは保っていると、三田村氏は言う。だが、宮里美香にしても、有村にしても、"パワーゴルフ"に変わったことが、低迷の一因にあると、三田村氏は分析する。

「有村は結構強気な性格だけれども、アメリカに行って、そこで戦う選手たちのショットを間近に見て、弱気になってしまっている。飛距離はもちろん、ショットの精度の高さにビビッてしまっている感じ。結果、昨季は試合前の練習を見ていても、コントロールショットばかりしていて、のびのびとしたスイングができていなかった。

 そういう状況では、試合の初日、2日目まではいいけれども、3日目、最終日を迎えて、さらに上位を争うような展開になったりすると、大事なところで萎縮して、プレイが小さくなってしまう。要するに、一緒に戦っている選手のレベルの高さを知っているから、上位にいればいるほど、ミスを恐れて、守りに入ってしまうわけ。それでは、当然結果は出せない。

 宮里美香もそう。優勝争いに絡んでくると、自らのショットが変わってしまい、スコアを崩してしまう。結局"パワーゴルフ"の潮流の中で、有村も、宮里美香も厳しい状況に置かれている」

 今季は、新たに横峯さくらも参戦する米女子ツアー。"パワーゴルフ"が猛威をふるう中、日本人選手はそれにどう対応し、勝利の活路をどうやって見出していくのか。決して簡単なことではないだろうが、その課題を克服し、世界を驚かせるような選手が再び出てくることを期待したい。

text by Sportiva