来年度は高校でITを駆使して授業中継。

過疎地の閉校に歯止め

少子高齢化で学校の閉鎖が止まらない。文部科学省の調査では、ここ12年で5801校が「廃校」となり、今後も全国で学校が次々と姿を消していく。
廃校の理由は少子化に尽きる。学校は児童・生徒がいて、教師がいて初めて学校になる。子供の数が少なくなれば当然、学校を維持できなくなってしまう。
1人の教師が全教科を教える小学校は廃校になりにくいが、教科担任制をとる中学校は必要な教員数が多いため、真っ先に廃校になる傾向がある。地方自治体も数学と理科など複数教科の免許保有者を教員採用試験で優遇し、少ない教師で学校を維持する方向で努力してきたが、自治体の財源難もあり、廃校ラッシュの歯止めになっていないのが現状だ。
そこで文部科学省が考え出したのが遠隔授業。企業がテレビ会議で使う映像と音声の伝送システムを利用し、授業を実況中継する。国語と社会は自校の教師が授業し、英語は隣町の大規模校の外国人教師の遠隔授業を受ける、といったイメージだ。これなら少ない教員数で学校を運営できる。文科省は昨年までに、遠隔授業の導入の可否について、有識者会議のゴーサインを得ている。2015年度から過疎地の高校での導入が見込まれるが、遠からず小中学校や都市部の学校でも、遠隔授業が実施されることになる。
人口減少で学校を閉鎖すると子育て世代が流出し、学校のない地区は都会からのUターンの候補先としても外されることがわかっている。しかし遠隔授業で小規模校も存続できれば、過疎地集落の維持に役立つ。安倍首相はもともと文教族であり、学校維持は自民党
が旗を振る「地方創生」の趣旨にも沿うため、政府の手厚い支援が期待される。
問題があるとすれば、授業中に居眠りする生徒に、先生がどうやってチョークを飛ばすかだろう。
(伊地知慶介)

この記事は「ネットマネー2015年3月号」に掲載されたものです。