韓国のお騒がせアイドル「Block.B」

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 昨今、日本の内向き(地元志向で身内好き)な若者は「マイルドヤンキー」などといわれているが、それにどこか通ずるようなコンセプトのK-POPグループが日本にお目見えしている。“WA・RU・GA・KI”推しの7人組ヒップホップグループ「Block.B(ブロック・ビー)」である。

“悪ガキ”のコンセプト通り!? アジアで大炎上

 1月21日に日本デビューしたBlock.B、韓国でのデビューは2011年で、そのコンセプトも“悪童ドル”=悪ガキ系アイドルだったのだが、韓国での言動を見ると、悪ガキというより、少々悪ノリが過ぎるおバカな子集団といった趣。

 大きく話題を集めたのは、2012年に訪れていたタイでの一件だ。現地ネットメディアのインタビュー中に、テーブルに寝そべったりゴリラのモノマネをしたりとやりたい放題した挙げ句、その前年に起きたタイ洪水の件に触れて、被災者を揶揄するような失礼な発言をしたのである。

 おそらくメンバーたちは「言ってやったぜ、オレたち! ワイルドだぜぇ〜!」くらいのつもりだったのだろうが、当然ながらタイ国内から大バッシングを受ける結果となった。

 さらに、韓国で“野獣アイドル”として大人気の男性グループ、2PMのメンバーであるニックン(タイ人の父とチャイニーズアメリカンの母を持つアメリカ生まれのタイ人。2009年にタイの観光大使を務めた)が「不愉快だ」という趣旨の発言をしたのを受け、メンバー7人全員が謝罪し、リーダーのジコが丸坊主になったうえで8カ月間の活動自粛に追い込まれている。ちなみに、この一件によりタイではK-POP人気が急降下したとの話もある。

 もちろん、韓国国内でも批判が巻き起こった。そもそも、彼らのゴリラダンスや、『言ったのか言わなかったのか』『LOL』などの曲の歌詞に、低俗な表現、先生や年寄りなどを揶揄するスラングを使っているなどということで放送不適切判定を受けていたこともあって、韓国国内でも「人格が未熟なものは人前に出るべきではない」という意見や「国の恥さらし」という批判が噴出。一部ネットユーザーからは「自殺しろ」という署名まで集まるなど、大きく炎上したのである。

所属事務所との裁判沙汰を経て日本デビュー

 2013年1月、禊も済んだろうということでカムバックしたものの、復帰するやいなや“育ての親”ともいえる所属事務所(スターダムエンターテインメント)に対して「収益金の分配がされない」と主張し、専属契約の解除を求め訴えるという騒動を起こす。

 そもそも、デビューしたてのBlock.Bが、大きな分配金を得られるほど稼げていたのか。稼げていたとしても、それはタイバッシングの火消しに使われたのではないだろうか。また、活動自粛期間に予定されていた曲の売り上げや、CM出演、タイアップが“飛んだ”結果、損失補填に相当な額が動いたのでないだろうか--といったオトナの台所事情にまるで考えも及ばないところは、さすがの悪ガキっぷりと言うべきか……。

 この訴訟の最中に事務所の代表が自殺し、裁判は泥沼化するかと思われたが、Block.Bはスターダムから新たに設立されたマネージメント会社「セブンシーズンズ」に移籍し、2013年10月にようやく芸能界に復帰を果たす。

 そのときの新曲『Very Good』が音楽番組で1位をとり、好調な再スタートを切った彼らは、日本でもミニライブを行い、着々と日本デビューの準備をしてきた。そして、この『Very Good』日本語バージョンを引っさげて、ついに2015年1月21日にデビューを果たしたというわけだ。

 ちなみに、この曲の歌詞がすごい。「オレたち悪ガキ、メラメラファイヤーファイヤー」って、それ、君たちが活動時自粛に追い込まれたときの状態では!?……と、思わずツッコみたくなってくるのはご愛嬌。

 ペン(韓国語でファンのこと)によると、リーダーのジコのラップはピカイチで、BIGBANGのG-DRAGONにも並ぶとか。悪ガキアイドル「Block.B」、その実力にも注目したい。

(文/ヨコヤマユー子)