ヘロイン密売人、オンラインでのドラッグ密売について語る

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この2年半の間、何千ものドラッグの売人が、考え得るあらゆる種類の薬物を匿名のオンライン市場「SilkRoad」で販売してきた。これは、SilkRoadのヘロイン密売人の1人が宣誓の下、答えた内容だ。オンラインのドラッグ帝国の規模と重大さが、突如として現実的なものになる。

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SilkRoadの“禁制品市場”を運営したことで起訴されている米テキサス州在住のロス・ウルブリヒト。彼を裁こうと行われている裁判で検察が証人として召喚したのは、同オンラインマーケットのヘロイン密売人である米ニューヨーク州のマイケル・ダッチだった。

ダッチ氏は2013年10月に逮捕されて薬物密売の罪を認めており、その減刑を前提とした証言を行うことに同意している。

SilkRoadでは「Deezletime」というIDで呼ばれているダッチ氏は、被告人のウルブリヒト個人については何も言及することがなかった。その代わりに彼が陪審員に語ったのは、ウルブリヒトが首謀者であると政府が告発するウェブサイト、つまりSilkRoadにおけるドラッグ売買の暗部の詳細だ。

ダッチ氏は、2013年4〜9月の6カ月で2,400以上のヘロインの注文を受け、合計で約32,000個の“切手”──「黒魔術」「殺人」「ホットショット」などの名前が刻印された10ミリグラム入り小袋──を販売した。彼は月に6〜7万ドルを稼ぎ、その大部分が自身重度の中毒であったヘロインを購入するために使われた。

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陪審員にとって最も重要だったことは、ダッチ氏が路上ではドラッグの販売を決して行わなかった点だ。SilkRoadの「安全と匿名性」が、彼がそこで販売する理由だった。

「比較的簡単そうに見えた」と彼は法廷で語っている。「何の罰も受けることなく、すべてが済んでしまうように見えた」。

ダッチ氏はまた、このオンライン市場に築かれた顧客基盤がいかに強いリーチ力をもっているかについて述べた。

検察が提示したのは、偽装された返送用住所とともに二重に真空包装され、ニューヨーク州モンローの郵便局から発送されたヘロインを受け取り人の住んでいた、アメリカ国内の何百もの都市のリストだ。「ユタ州 (のような場所) の住人でもヘロインを手に入れることができる。SilkRoadが彼らのヘロイン使用を可能にしている」とダッチ氏は語った。

このような告白をしたのは、ダッチ氏が初めてではない。しかし、マンハッタンの法廷の冷光照明の下で語られる言葉のひとつひとつは、法廷にいる陪審員にSilkRoadの不気味な印象を残すだろう。

検察官のセリン・ターナーは、禁断症状に苦しむ顧客たちがダッチ氏に早くヘロインを発送をするよう懇願するメッセージを読み上げた。

「極度の薬物中毒で、いますぐ必要だ。もう発送は済んだのか」。別のメッセージには次のように書かれている。「吐き気がひどく、最悪中の最悪な気分だ。死にそうなほど痛みもある」。

ターナー氏はダッチ氏に、このようなメッセージがよくあるものか質問した。「毎日のように受け取る」と彼は返答した。

ダッチ氏はさらに、彼自身の熱烈な薬物依存について陪審員に語った。彼は2007年には、抱えていたスポーツ障害に対して医者から処方された痛み止めの中毒になり、ヘロインの吸引、そして注射へと移っていった。2012年後半までには、彼は「報道ニュースで知った」SilkRoadから痛み止めを購入していた。薬物使用にかける金額は週3,500ドルにまでのぼり、販売に手を染めるようになった。

「中毒だった」と、彼は証言のなかで沈痛な面持ちで語った。「どうにかする必要があった」

ダッチ氏は、米ニュージャージー州パセーイクで6,000ドルのヘロインを購入し、そしてSilkRoadの自らのアカウントから100%の利幅でオンライン販売したと語った。彼は「Black Market Reloaded」や「Atlantis」のようなウェブの闇市場でも販売したが、売り上げの99%は巨大な顧客基盤のあったSilkRoadによるものだと証言した。

いかにSilkRoadが有効かという密売人の視点からの説明はともかく、ダッチ氏の証言は、SilkRoadでなければドラッグ販売に手を染めることはなかっただろうということ、そして(少なくとも彼の意見によると)、彼の顧客の多くは購入しなかっただろうということを意味しているようだ。

マリファナやエクスタシーのようなより危険の少ないドラッグに比べ、ヘロインはSilkRoadでのメジャーな商品ではなかったことに留意するのも重要である。昨年の調査では、ヘロインやメタンフェタミンやクラックのような非常に中毒性の高いドラッグは、サイトの総収入のごく一部を占めるものだったことが分かっている

水曜日の夜に休廷される際に始まったばかりのダッチ氏の反対尋問において、ウルブリヒト氏の弁護人であるジョシュア・ドラテルは、ダッチ氏の証言は検察側との取引の結果であることを強調した。その取引がなければ、ダッチ氏はドラッグの大量販売によって最低でも20年の懲役刑を受けなければならなかったと主張した。

ダッチ氏は、2013年に逮捕されて以来ドラッグを使用したことはなく、彼自身の健康、恋人との関係、そしてITコンサルタントとしての彼のキャリアのすべてが彼のヘロインと痛み止めの使用によって苦しむことになったと陪審員に語った。

「そのようにあなたの人生に影響を与えたものと同じドラッグを、あなたは何千人もの人々にSilkRoadで販売したのですか?」とターナー検事は彼に質問した。

「はい、そうです」とダッチ氏は答えた。「それで私は毎日悩んでいました」。

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