世界が見守る“最後のマック”、一時は美術館陳列のバーガー&ポテト。

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マクドナルドがなくなる日、まさかそんなことが起きるなんて誰も思っていなかった。そう、あの時までは……。

2008年にアイスランドを襲った経済危機の結果、輸入食材で経営していた同国のマクドナルドは、2009年10月いっぱいでの撤退を決定。多くの人がこの事態を悲しみ、最終営業日には長蛇の列ができ、別れを惜しんだ。スマウラソンさんも、もちろんその一人で、彼はチーズバーガーとマックフライポテトを購入。しかしこれ、食べるためではなかった。その思い出をずっと留めておこうと思ったのだ。

地元紙レイキャビック・グレープヴァインなどによると、スマウラソンさんは、このチーズバーガーとポテトを、3年もの間ビニールの袋に入れて保管していたという。

「本当かどうかは知らないけど、マクドナルドの商品はダメになることはない、と聞いていたのでね」

その3年間、全く様子が変わらないように見えたチーズバーガーとポテト。そこでスマウラソンさんは、アイスランド国立美術館にこのセットを寄付することにした。

もはや手に入れることすらできない貴重なハンバーガーは、美術館に陳列される運びとなり、現地の話題をさらったという。以降、特に大きな変化はなく、その様子は「若干パテの部分の色が明るくなってきたような……」という程度。にもかかわらず、美術館は2年後「もうこれ以上保管することが難しくなってしまった」と、スマウラソンさんに知らせてきたそうで、彼は毅然と「美術館は間違っている。『私はそのハンバーガーを引き取る』」と答えたという。

再びスマウラソンさんのもとへと戻ってきたチーズバーガーとポテト。彼は、今度はレイキャビク・バス・ホテルに“国内最後のハンバーガー”を展示することにした。

現在、この貴重な歴史的遺物はホテルのバーに陳列されており、物珍しさからか訪れた客にちょっとだけポテトをかじられたりというハプニングがありながらも、静かに時を刻んでいる。バーに設置されたライブカメラから、「ハンバーガーが果たしてどのように腐ってしまったり、だめになったりするのか」を、世界中の人々が見守ることもできるそうだ。

こうした、方向性はともかくも、深いマクドナルド愛を感じさせるニュースに多くの人が関心を寄せており、米ソーシャルサイト・redditやimgurなどでも相当な数のコメントがついた。

「電子レンジに2分。それで新品同様のはずだ」
「我々の生きている時代においてはマックフライポテトはきっと美味しく食べられるだろう、あの半減期は200万年くらいある」
「世界が終わってしまった後に残るものリストに、マクドナルドのハンバーガーとゴキブリは載っているんだよ」
「ケンタッキーフライドチキンはまだアイスランドにあるのに…」
「i'm lovin' it」