グランドスラム制覇への遠い道のり!

今月はスポーツ観戦ファンとしては、惜しい月となりました。サッカー日本代表のアジアカップ、テニス全豪オープンというビッグイベントがあり、十二分に期待感高まる内容で途中まで進んだものの、やや早い幕引きに。月末まで想定していた楽しみが途中でなくなり、僕の勤労意欲も著しく落ち込んでいます。

28日に行なわれた全豪オープン準々決勝。日本の錦織圭さんがベスト4進出を狙った一戦は、改めてグランドスラムという高くて遠い頂を実感させるものでした。昨年の覇者にして錦織さんのひとつ上、「トップ4」の席をキープしている当面のターゲット・ワウリンカ選手が対戦相手。昨年の全米では死闘の末に下した相手に対して、今回は0-3のストレート負け。特に第3セットのタイブレークでは獲ったと思ったところから自らのミスで落とす形となり、非常に残念な試合となりました。

ひとつ前のフェレール戦では、コートを完全支配するかのように躍動した錦織さんのテニスが、この日は一転して固く縮こまったものに感じられました。相手が強かったとかメンタルの問題とか言えばそれまでですが、あれほど好調であってもほんの些細なことで変わってしまう繊細な世界であることを改めて思います。そして、そのわずかな変化でこのように大きな差が生まれてしまう世界であると。怪我をせず、疲れず、精神的動揺もせず、運に恵まれてやっと勝てるのがトップの戦いなのだとすれば、この日はまだベスト8ですから、仮に勝ってもあと2回もコレを繰り返さないといけない。やっぱり気が遠くなってきます。

昨年の全米で夢を見てしまったことが、コチラにまで重苦しさとなってのしかかっている気がします。2大会連続グランドスラムベスト8以上というのは立派な成績であり、世界ランク5位に恥じないもの。ただ、一度「勝つかも?」と思ってしまったことで、ドキドキしたり、早すぎる幕引きに唇を噛んだりしてしまうのでしょう。この「精神的な疲弊」を今後は年に4回ずつやられると思うと、先行きが心配になってきます。とにかく早く1回勝ってくれないとコッチがもたない。

頭ではわかっているのです。地道にポイントを積み上げ、ランキングを上げ、いいシードに入り、なるべく最後のほうまで強い相手と当たらない組み合わせを得られるようにして、チカラをセーブしながら勝ち上がり、ベスト4の常連になり、ここ一番のベストゲームを準決勝・決勝と2試合つづける、これだけが頂点へのルートだと。

勝ちを期待して急ぐ心を抑えていくこと、それを今季のテニス観戦の課題としたいと思います。ただでさえ、年に6回も「今場所こそアレが優勝するかも?」「やっぱ、しねーな」「もう一生しないかもしれんね」という大相撲観戦で精神的に疲弊しているのです。これ以上、疲れる観戦を増やすわけにはいきません。なるべく早く1回勝っていただき、ラクになれるよう祈っております。

ということで、打ち合わせと称して会社の同僚と会議室で見守った錦織圭さんの全豪オープン準々決勝について、心を抑えながらチェックしていきましょう。

◆「見てたんすか?」「ゴメン見てた」「じゃ、打ち合わせしましょう!」

オーストラリアの連中め…。僕は非常に苛立っていました。アジアカップも全豪オープンも、平日の真昼間ばかりにぶつけてきやがって。どこで休んだらいいかわからないじゃないか。会社のデスクでコソコソとワンセグの弱い電波で見守るのがどれだけストレスか、連中はわかっているのでしょうか。しかも「決勝は何としても休もう」と思っていたら、休む前に日本の代表が負けてしまうという展開で無念さも2倍です。

しかし、今後に向けての大きな収穫もありました。錦織圭さんの準々決勝の試合について、僕はコソコソとワンセグで見守りながら、どうしても確認しなければいけないことがあって同僚のデスクへ向かったのです。すると、その同僚もワンセグでテニスを見ていやがるじゃありませんか。見咎める僕と、ハッとする同僚。そのとき、まったく新しい発想が浮かんできたのです。「この件、会議室で打ち合わせしましょう!」という新しい発想が。

これまで僕はトイレやランチなど、何とかひとりになる機会を作って仕事中にテレビを見るようにしてきましたが、お互いにOKな人間を見つけて、ちょうどいい時間にミーティングを設定すればよかったのです。そうすれば、1時間ほどデスクを離れ、別室…というか密室で堂々とワンセグが見られるじゃないですか。いや、テレビのある会議室にすれば、地デジで見られるじゃないですか。僕も社会人経験をそれなりに積んできましたが、試合時間に合わせてミーティングを入れるという逆転の発想には我ながら「冴えてるぅ」と驚きました。

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さて、そんなこんなで始まった試合。ワウリンカは強烈なサーブ、片手で繰り出す深いバックハンドを武器とする選手。相手に主導権を握られれば、どんどん後ろに下げられ、角度のあるバックハンドで振り回されてしまいます。昨年の全米では、冴えわたる錦織さんがベースライン付近の「前陣」で戦い、自分のテニス・自分のペースに巻き込んでいきました。今回も、前へ前へと押し込んでいきたいところ。

最近の試合でも頻繁にサーブ&ボレーする場面を見せる錦織さんですが、それができるだけの読みと反応があるのが錦織さんの魅力であるように思います。勝った試合で感じるのは、常に一歩先を行くかのような立ち回り。「残念、そこに打つのはわかっていた」とでも言うように、錦織さんはボールに先回りし、まだ弾み切らないうちに返していきます。野球で言えばクイックモーションのようなハイテンポの動き。サイズが小さく、身体能力もとりたてて高いわけでもない錦織さんが世界で勝てるのは、そうした冴え渡るセンスゆえなのではないかと感じるのです。だからこそ「天才」と称されるのかもしれませんが。

ところが、この日はその冴えが見られません。そもそもファーストサーブが入らない。そして肝心なところ、おそらく攻めにいった返球がことごとくネットをかすめる。コードボールとなって相手側に落ちることもありますが、何球もつづくわけもなく、ネットに引っ掛けて多くのポイントを失っていきます。

↓第1セットは2つのブレークを許すなど、いいところなく失う!


うーん、まだまだここから!

逆転の錦織だ!

第2セット、錦織さんは最初のサービスゲームをキープすると、つづくワウリンカのサービスゲームはダブルフォルト、リターンエースで30-0とリードします。ブレークのチャンスでしたが、ワウリンカはここからサービスエースを3本連続で決めると、そのまま4連続ポイントでキープ。サーブに対してコートの外側なのか中央側なのかの読みをことごとく外され、立ち尽くしての連続エース。引きつづき冴えは見られません。

その後、ひとつずつサービスゲームをキープして迎えた第5ゲーム。ここが勝負をわけるポイントとなりました。15-30と1ポイントリードを許しての場面。ここで両者は長い打ち合いを演じます。24本つづいたラリーは、最後は錦織さんのラケットが手からすっぽ抜けるという決着に。すっぽ抜けたラケット。諦めて歩きはじめる錦織さん。無人のコートに強打を叩き込むワウリンカ。押し込みながらも、深いバックハンドにしてやられる。この日を象徴するような1本を失い、錦織さんはブレークを許します。

↓押している感じもあったが、バックハンドが深くて強烈!


クロスを警戒して構えれば今度はダウンザラインを狙われるし、苦しいな!

ラケットがすっぽ抜けたとき用に紐でもつけておけばよかった!

第2セットも先にブレークを許した錦織さんは、つづく第6ゲームをラブゲームで失うと、自分のサービスゲームである第7ゲームも15-40と追い込まれるなど、苦しい展開がつづきます。ブレークのチャンスをつかんでも、サービスをズドンと決められ、ストロークではバックハンドで振り回されて凌がれる。結局、第2セットも4-6で落とし、錦織さんは崖っぷちに追い込まれます。

↓とにかくワウリンカのバックハンドが冴えてる!もはやどっちに打ってくるのかわからん状態!


ガマン!ガマン!ガマンだ!

粘れば何かが変わるかもしれんぞ!

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昨年も追い込まれてからの粘りで何度も逆転勝利を演じてきた錦織さん。第3セットを奪い返し、長い試合に持ち込めば、流れも変わるかもしれません。そして、その流れはやってきていました。第3セット第2ゲーム、ようやくこの試合最初のブレークを奪った錦織さんは大きくガッツポーズ。さぁいくぞ、いけるぞとグッと盛り上がってきます。しかし、この次のゲームでまたもワウリンカのバックハンドが流れを引き戻します。押し込んで押し込んでも、大砲一発で引っくり返されるような感覚。ブレークの直後にラブゲームでのブレークバック。さらにラブゲームでサービスをキープされ、主導権を奪えません。うーん、苦しい。

それでも何とかサービスキープを重ねて、第3セットはタイブレークにまでもつれ込みます。錦織さん最初のサーブ、サーブ&ボレーで攻めるもネットにかけてミニブレークを許します。相手サーブの2本はサービスエースの連続。0-3、0-4、1-4、1-5、1-6とタイブレークとしては逆転不可能レベルにまで点差は開いていきます。うーん、相手の集中力、ここぞのエース、苦しい。しかし、ここでワウリンカはおそらく「勝った」と思ったのでしょう。その緩みが圧力を削ぎ、あれよあれよとポイントを失っていきます。そう言えば、全米での試合もリードしてからの逆転負けでした。ここで1セット取り返せば、相手はガッチガチになるかもしれない。一筋の光が見えてきますが…

↓粘って粘って1-6から6-6まで追い上げるも、やっとめぐってきた逆転のチャンスで痛恨のドロップショットミス!(6分過ぎから)


いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

ここぞで決めるか、ミスするかの差で勝負がついたか…。

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このレベルの試合で敗因を挙げるのもどうかとは思いますが、まず第一には相手が強かった。さすが昨年の覇者、この日の出来では勝つのは簡単なことではなかったでしょう。そして序盤のつまづきで、主導権を取れなかった。相手は自信と確信を深め、どんどん攻めてくるようになり、後ろへ後ろへ下げられてしまいました。サーブ&ボレーで強引に圧力をかけ、主導権を取り返そうとし、実際にいくぶん流れは引き戻しましたが、わずかなところで及ばなかった。最後のドロップショットが入らないあたり、「今日は錦織の日ではなかった」のでしょう。その意味では、やるだけのことはやったナイス敗戦だったように思います。

そして僕は、1時間半に及ぶ長いミーティングを終え、同僚とともにデスクに戻りました。残念だったという気持ちとともに、大きな喜びを抱えて。錦織さんは敗れ、グランドスラム制覇という大きな夢はまたも叶いませんでしたが、前のめりで見守れる試合があり、それをともに楽しむ仲間がいるという収穫を得られたのです。

年に4回、心臓に悪い大会があるということは、年に4回チャンスがあるということ。まずは、常にこの位置にいることが大事です。よくない日でも下位に取りこぼしなく勝ち上がっていれば、そのうち冴え渡る日が試合と重なることもあるはず。あるいは相手が勝手にコケてくれることもあるはず。「健康第一」という言葉を胸に、長いシーズンに臨んでほしいものです。僕が死ぬまでに一度はグランドスラム制覇、見てみたいですからね。


1年に4回、5年で20回!常にこの位置にいれば1回くらい勝つだろう!