横綱・白鵬の33回目の優勝で幕を閉じた大相撲初場所。その表彰式では、普段の場所とは少し異なる光景が見られました。

普段と違う光景が見られたのは、優勝力士への日仏友好杯授与でのこと。日仏友好杯は副賞として洋菓子のマカロンが贈られることで知られ、毎場所異なる色の巨大なマカロンが登場することから、ファンからも大きな注目を集めています。

ここで授与のため土俵に上がった駐日フランス大使は、表彰状の読み上げののち、「日本とフランスは痛ましい経験をしました。だからこそ両国の友情は今までに増して強いのです」という独自のメッセージを付け加えて表彰を行なったのです。

この「痛ましい経験」が何を指すものかは示されませんでしたが、昨今の報道などから察するには、風刺画家殺害であったり、誘拐であったりというテロリズムによる両国民の被害を指すものと思われます。純粋にテロリズムに心を痛め、日仏友好の気持ちから生まれたメッセージであるのでしょう。観衆からの大きな拍手を引き出すなど、友好の気持ちが伝わる、心温まるメッセージでした。

しかし、その場はあくまでも白鵬の表彰式。やはり場違いであったことは否めません。

大相撲には日本・フランス以外からやって来た力士も多数おり、それぞれさまざまな主義・主張を有しているはずです。そのすべてが日本国あるいはフランス国と同じ意見、同じ立場にあるものではないでしょう。

大相撲は、そうした主義・主張を問う場でも、発信する場でもありません。むしろ問わないこと、主張しないことにこそ意味がある。政治や文化、民族といった垣根の存在を忘れ、公平なルールのもとに誰もが等しく楽しめることにスポーツの素晴らしさの一端はあります。その意味では、せっかく失くした垣根をもう一度持ち込むようなことは避けるべきだったのではないでしょうか。

駐日フランス大使には、表彰式であえて言うことではない発言よりも、場所ごとに異なる色が出てくるジャンボマカロンについて、「ピンク色のはストロベリー味です」「緑色のはピスタチオ味です」「金色のは、何と金箔入り」などの説明を付け加えることを期待したいもの。「旬の果物を使っているな」とか「今の季節のオススメはこれなのか」など、マカロンへの興味が今までにも増して強くなるように。

■日本相撲協会公式ツイッターより、平成二十七年一月場所のマカロン


■日本相撲協会公式ツイッターより、日仏友好杯副賞のマカロンについての解説


(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/