大儲け?IPO投資の落とし穴

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長期保有で莫大な利益も。IPO投資の醍醐味

2013年から14年にかけて、新たに株式を上場する企業が相次いだこともあり、「IPO投資ブームの再燃か?」とささやかれています。IPOとは、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、未上場企業が新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることをいいます。

IPO投資の「最大の醍醐味」といえるのが以下の二点です。

■公募価格より初値が大きく上回る可能性が高い
IPOを行う企業は「将来的に大きく成長が見込まれる企業」と考えられているため、この成長期待から初値が公募価格(売出価格)を大きく上回ることが多くあります。また、「儲けやすい」という視点から購入希望の投資家が極めて多く、初値自体がバブル的に形成されがちなことも、これを助長します。

■長期保有で莫大な利益を狙える可能性がある
初値でのメリットのみならず、大きな成長が見込まれる企業が多いことから、将来的にも株価の大幅な上昇を期待しやすいといえます。

また、「取得に際して手数料がかからない」「上場後、数か月の間に株式分割(株価に好影響)を行うケースがある」といったメリットもあります。


初値が公募価格を下回るケースや株価が上昇しない可能性も

一方、以下のデメリットが挙げられます。

■購入価格よりも初値が低くなる可能性もある
当然、初値が公募価格を下回るケースもありえます。2014年の実績では、IPO全銘柄のうち、初値が公募価格を上回ったケースが78%、下回ったのが18%(=負け率)、同値が4%でした。ちなみに、2013年の負け率は5%、2012年は22%、2011年は39%、2010年は41%でしたので、それなりのリスクは覚悟しておく必要があります。

■株価が急騰・急落しやすい
上場後しばらくは、個人投資家によるマネーゲームの様相を呈する場合が多く、落ち着いた値動きに移行するまで数か月程度かかることがあります。

■中長期でも株価が上昇しない可能性がある
中長期でも業績が芳しくないケースも当然のごとくあります。新興企業は歴史が浅く、規模が小さく、ビジネスモデルが新しくて安定していない場合が多いので、将来的にも業績のブレが大きくなりやすいことには注意が必要です。

■業績の実態がわかりにくい、将来予想がしにくい
新興企業が多いため、実績データに乏しく情報開示が目論見書に限られるなど、会社の現状把握や将来性の予測がしにくいといえます。

■当選する確率が低い
入札者の中で抽選が行われますが、一般的に外れることの方が多いです。

■外れる確率が高くても当選前提で資金を準備する必要がある


企業内容をよく知り、投資初心者はシンプルな投資方針を

では、デメリットを踏まえた対応策を示します。

■投資初心者などは、「初値が公募価格を上回ったら即座に売る」あるいは「あらかじめロスカットルールを決めた上で中長期に保有する」といったシンプルな投資方針とすべきでしょう。上場後の荒い値動きの中で売却タイミングを図るのは、一般の個別株などで相当の経験を積んだ人が行うべき手法と考えます。セカンダリー投資(上場後に取得し売買していく)も同様です。

■必ず目論見書などでビジネスモデルや成長ストーリー(定性項目)、B/S、P/L(定量項目)などを読み込み、自分なりに納得できる材料を持つこと、かつ、ビジネス自体に独自の強みがない会社は避けることをお勧めします。

■当選率を高めるためのテクニカルな手法を用いるのも良いでしょう。
・多くの証券会社に口座開設し、それぞれから応募する。
・申込口数1口当りに抽選権を発生させる証券会社と、口座名義人1人当りに発生させる会社に分かれ、さらに公募に外れる都度、次回以降の当選確率が上がる会社もあるので、確認してバランスをとる。
・総合証券などでは、抽選ではなく証券会社の裁量で割り当てられる割合が高いので、優良顧客とみなされるように努力する。

最後に、間違っても、企業内容をよく知らないのに「IPOだから」というだけの理由で投資することのないよう気をつけてください。


【賀藤 浩徳:不動産投資アドバイザー・マネーアドバイザー】


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