ソウル市内にある「カフェベネ」の店舗

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 ここ数年、韓国ではコーヒーショップが爆発的に増加している。まさに“雨後の筍”という表現がぴったりで、どこもかしこも、カフェ、カフェ、カフェといった様相だ。コンビニと同じくらいコーヒ―ショップの店舗数がある。そう言い切っても、決して過言ではない。

 2000年前後から、スターバックスなど外資系フランチャイズの進出がはじまった韓国では、コーヒーおよびカフェ文化が広く浸透。その後、「EDIYA」、「カフェベネ」などの韓国国内チェーンが勢力を伸ばしはじめ、2013年〜2014頃からはカフェ・ベンチャーブームが起きた。このカフェ・ベンチャーブームの担い手となっているのは、就職難で働き口が不足している20代、30代。少額の資本をもとにひとやま当ててやろうという若者が、列をなしてカフェ業種に進出しはじめた。

「誰かと駅前のカフェで待ち合わせるなんて場合がありますよね。いまの韓国ではそれが難しい。ひとつの駅の周辺に同じ系列の店舗がいくつもあったりするので、『あれ?何号店?』とか何回も確認する羽目になる。それに、見知らぬ街で道に迷ったりすると、似たようなカフェがいくつもあるので軽い既視感すら感じることがあります」(韓国在住の日本人留学生)

韓国ではすでに過当競争で海外進出がはじまる

 韓国でのカフェ乱立ぶりは、数字を見るとさらに一目瞭然かもしれない。

 韓国カフェチェーン最大手「EDIYA」コーヒーの店舗数は、2014年末の時点で1265店舗。3年前には433店舗だったので約3倍、800店舗以上増えている。ちなみに、国土面積が4倍近い日本で、店舗数1位を誇るドトールの店舗数は約1360(2014年3月時点)。日本と比較して見ると、韓国のカフェがいかに乱立、密集しているかがよく分かる。

 そうなってくると、カフェやコーヒーショップ同士の競争は当然のように激しくなる。韓国紙記者は話す。

「ビジネス的な観点から見ると、すでに韓国のコーヒーショップ業界は飽和状態。それなのに、大手企業の参入や、新たにカフェ事業に乗り出そうとする個人は増え続けています。競争が激しくなることで、各企業はスイーツなどコーヒー以外の部分での差別化を余儀なくされていますし、資本が少なくい小規模、個人経営の店舗は淘汰されるという動きも徐々に出始めています」

 韓国国内での過当競争から脱出を図るためか、最近では韓国系カフェとして海外に拠点を移す企業も出始めている。国内の競争で磨かれたノウハウを土台にした、日本を含む海外進出がはじまっているのだ。

日本にも韓国系コーヒーチェーンが進出していた!

 中国紙『ホウハイ新聞』が伝えるところによると、中国国内で「カフェベネ」、「maancoffee」、「zoocoffee」など韓国系コーヒーショップが急増中で、すでに1000店舗に肉薄しているという。2019年までには2000店舗にまで増えるとのこと。うち、「カフェベネ」はアメリカ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、台湾、モンゴル、カンボジアなどを中心に約1100店舗まで数を増やしている。すでに日本でも羽田空港や赤坂に出店しており、都市部での出店攻勢に出ている。

 国内での厳しい競争と大規模な海外店舗展開。これから先もコーヒーショップブームが過熱、沸騰して行けば、韓国を代表するビジネスのひとつに“カフェ”が食い込んでくることも多いにありうる。かつて世界を凌駕したサムスン電子やヒュンダイ自動車のように、韓国系コーヒーショップが世界で受け入れられる日はくるのか。ただし、日本はすでに成熟したカフェ文化があり、かつサードウェーブと呼ばれる新しいコーヒーの波も浸透しつつある。韓国系コーヒーショップは、アジア圏では成功するかもしれないが、日本で苦戦を強いられることになるだろう。

(取材・文/中川武司 Photo by maya jasmin via Flickr)