挑戦者としての日本代表…アジア杯ベスト8敗退は逆襲のはじまり

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 実に19年ぶりのベスト8敗退である。優勝国に与えられるコンフェデレーションズカップの出場権も逃すことになった。昨年には、各年代別代表がアジアでベスト8の壁に阻まれ続けた。今大会でA代表も準々決勝で敗退したことで、ついに停滞期突入かと騒ぎ立てられることも無理はないかもしれない。

 思いがけず早い段階で敗退したことは、確かに痛恨である。ただ、何も悲観ばかりでもなさそうだ。

 日本サッカー協会の技術委員長を務める霜田正浩氏が、「結果と内容とチーム作りが伴えば、100点満点だったんですけど、結果だけちょっと足りなかった」と振り返ったように、アジアカップでの日本代表の戦いぶりは十分に手応えを感じさせるものだった。

 相手の10倍以上のシュートを放ちながらPK戦で敗れたUAE戦後、ハビエル・アギーレ監督も記者会見で表情を変えずに語っている。

「最終的にシュートミスやGKに阻まれたが、クロスもミドルシュートもたくさん見られた。相手のように試合を通じてチャンスが1回か2回ならば心配するが、将来的にどうするかということならこれを続けること」

 連覇を狙いながら5大会ぶりのベスト8敗退となったことで、説得力に欠けるかもしれないが、今大会の日本代表はUAE戦を含めた4試合でいずれも相手を圧倒していた。本田圭佑も、優勝した前回大会との比較で、「クオリティ、チームの完成度という点、サッカーの戦い方においては、絶対に今回の大会の方が高かった」と力強く言い切っていた。

「新しい監督が来て、新しいシステム、やり方で手応えをもちろん掴んだ中で、こういう結果。難しいです」と語ったのは、キャプテンとして4試合にフル出場した長谷部。結果に繋がらなかったもどかしさを感じられたが、内容に対する一定の自信も滲んでいた。

 もちろん、収獲を語りながらも敗因は確かに存在する。開始早々の失点や数々のチャンスの逸機、PK戦での駆け引き、あるいは運――。枚挙にいとまがないことは日本の優位性を裏付けることでもあるが、本田圭佑が興味深いことを語っていた。

「やはり勝つにはクオリティ以外のこと、ピッチ上でボールを扱う以外の部分にもたくさんあると思う。ボールを扱う部分では優っていたのに、試合に勝てないということが、絶対にそこが欠点なわけで。経験とか厳しい勝負に慣れていないとか。こういう勝たないといけないというプレッシャーの中で勝てないのは、そういう精神力を持ち合わせていなかったなと感じます」

 一括りに精神力、メンタルだけに絞っての比較で言えば、UAEよりも日本の方が何枚も上手だろう。ワールドカップはもちろん、欧州のトップリーグでもしのぎを削っている選手たちを考えれば、チームとしても個人としても積み上げてきた経験値は段違いと言える。

 問題となっている精神力という部分は、おそらくは王者として、あるいは追われるもののメンタルとなるだろうか。振り返れば、初戦となるパレスチナ代表戦の前日会見で、長谷部も連覇に臨む難しさを口にしていた。

「選手の中でも話したが、連覇に挑むシチュエーションはヤットさん(遠藤保仁)が一度あるだけ。他の選手はもちろん初めてですし、そのヤットさんも連覇はできていない」

 連覇の道が途絶えた後、本田が現実を受け入れるように語る。

「前回挑戦者として何とか優勝した形と、ある程度優勝するんじゃないかという色んな期待、前回以上に期待されている中で臨んだ今回の大会では、我々はプレッシャーというものに結局打ち勝つことはできなかったというところは我々が未熟な点」

 2013年のコンフェデレーションズカップや昨夏のブラジル・ワールドカップ、今回のアジアカップで、ひとまずアジア王者としての戦いは一区切りを迎えた。望むような結果こそ得られなかったが、今回の敗戦が低迷期に直結するというわけではあるまい。

 6月には、ロシア・ワールドカップのアジア予選が始まる。敗退こそしたが、今大会で健在ぶりを見せたことは、未来を照らす光になり得る。振り返れば、驚異の成長を遂げた過去20年、日本は常に挑戦者だった。今後、ベテランは年齢への挑戦、若手は現メンバーへの挑戦を迎え、生き残った選手が代表を構成する。

 終わりではなく逆襲のはじまり――。再び挑戦者として戦いに臨むことも悪くはない。

文=小谷紘友