2014−2015年米ツアーのヒュマナ・チャレンジ(1月22日〜25日/カリフォルニア州)に石川遼が参戦。2015年の初戦を迎えた。

「今年は(ツアー参戦に向けて)ワクワク感しかない。決して、今の状態が絶好調と言うわけではないけど、年末に3週間の合宿(沖縄県)を消化して、そこで1年間を通してやっていくことが見つけられた。同時に、体力もついたし、飛距離も伸びている。今やっていることに手応えを感じていて、(試合が)すごく楽しみで仕方がない」

 試合前、そう語って上位進出を狙った石川だったが、3つの異なるコース(※)を回る3日間の予選ラウンドで、通算6アンダー、85位タイでフィニッシュ。上位70位タイまでが進める決勝ラウンド進出はならなかった。
※予選ラウンド(3日間)では、PGAウェスト・パーマーコース(6950ヤード/パー72)、PGAウェスト・ニクラウスコース(6924ヤード/パー72)、ラキンタCC(7060ヤード/パー72)の3つのコースをラウンド。最終日の決勝ラウンドはパーマーコースを使用。

 アマチュアも参加する同トーナメントは、予選ラウンドではプロふたり、アマふたりの計4人が同組でプレイ。そうしたスタイルも「楽しいし、好き」という石川は初日、2番でバーディーが先行し、幸先のいいスタートを切った。

 その後も、同組のアマチュア選手と談笑するなど、終始リラックスした表情を見せ、13番でこの日4つ目のバーディーを奪取。「一日、4アンダーか、5アンダーで回りたい」という目標どおりのゴルフを展開し、スコアを3アンダーまで伸ばした。が、15番パー3で痛恨のダブルボギー。16番のバーディーでひとつ取り戻すも、18番パー5でもボギーを叩いて、初日は結局1アンダー、89位タイで終えた。

「今年、初めての試合で、探り、探りという感じだった。試合感という意味でも、まだまだでしたね。それでも、全体的には悪くないスタートでした。(新しい)ドライバーも、パットも、問題ありませんでした。パットは、ロングパットの距離感がポイントだったけど、いいストロークができていたし、一度もショートしなかったのはよかった。6週間ぶりの試合で、これだけバーディーを奪えた(5つ)ということも、自分としては上出来。何もさせてもらえなかったということはなかったし、(今年も米ツアーで)戦える手応えが感じられました」

 2日目は、ドライバーが不調だった。10番スタートの序盤はフェアウェーをなかなかとらえられず、苦しいラウンドが続いた。それでも、途中からティーショットを4番ウッドで打ち始めると安定感が増し、バーディーチャンスも増えた。最終的には5バーディー、2ボギーの「69」。通算4アンダーとして、74位タイまで順位を上げた。

「ドライバーが曲がって、最後まで納得できるショットが打てなかった。それで、よく3アンダーで回れたな、と思う。ショットの内容からしたら、5オーバーくらい叩いてもおかしくない感じでしたね(笑)。ティーショットを4番ウッドに変えた? 結果を出すことを優先して、大事をとった。距離はそれほど長くないし、OBが浅いホールも多かったので、まずはトラブルを避けることを大前提にプレイしました。(アイアンショットも)途中までは、スイングのタイミングとか、リズムとかを気にし過ぎていた。それよりも、狙ったところにしっかり打とう、ということに徹した。そういう意味では、いいスイングができていたかどうかはわからないけど、試合中はそうしたことは考え過ぎないようにしたい。考え過ぎるとゴルフにならないので。今年は試合で(スイングの善し悪しにとらわれず)もっと"ゴルフ"をしたいと思っています」

 予選突破のためには、さらなるスコアアップが求められた3日目。1番でいきなりダブルボギーを叩いたのが痛かった。以降、4番、5番とバーディーを奪ってスコアを戻したものの、なかなかチャンスを決め切れなかった。10番の2.5mをはじめ、11番の4m、14番の3m、15番の6mといったバーディーチャンスを逃した。結果、16番、17番と連続バーディーを決めながら、18番でボギーを叩いて、ふたつスコアを伸ばすのが精一杯。通算6アンダーで、予選通過に2打及ばなかった。

「(1番で)ダブルボギーを叩いたあと、(バーディーパットが)何個かカップをなめて外れた。自分のミスパットもあったけど、もったいなかったな、と思います。スコアを伸ばさないといけないコースでしたからね。でも、このゴルフができていれば問題ないと思っています。スイングは、これまでの"型"にこだわったガチガチのものと違って、いかに自然体で打てるかを重視してきた。まだ不安な面はあるけれども、いいフィーリングで打てていて、収穫を得られました。今やっていることにもう少し自信が持てれば、飛距離もさらに伸びると思う。パッティングにしても、いい感じで打てている。前よりも"硬さ"がなくなった。とにかく、結果は出ませんでしたけど、この3日間は、プレイしていて本当に楽しかった。これからもそういうスタンスでゴルフが続けられればいいな、と思う。そして、優勝を狙っていきたい」

 2015年の初陣は予選落ちという結果に終わったが、石川の表情は明るかった。この年末年始のトレーニングでやってきたことが、試合でもある程度実践できて、相当な手応えを得たのは確かだ。

 同時に、石川にいくつかの変化が見られた。これまでは理想のスイングにばかりこだわっていたが、結果を出すことにも貪欲になり始めていた。どんなことをしてでもスコアを落とさないようにしようという、泥臭さがプレイに出てきた。

 また、ラウンド後には囲み取材を受けている石川に対して、行き交う米ツアーの選手たちが石川に声をかけて、英語でやりとりする姿が頻繁に見られた。本格参戦3年目を迎えて、すっかり米ツアーの仲間入りを果たした雰囲気があった。そのうえで、「2年前に感じた(米ツアーの)レベルの高さではない」と語る石川からは、これまでにない心のゆとりが感じられた。

 今季、ツアー優勝を最大目標とする石川。それを実現するだけの状況は、すでに整い始めている。

武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva