そんな傷心旅行の際に出会ったのが、「織部焼き」で知られる古田織部の生涯を描いた漫画*や、利休や織部にまつわる様々な本だ。大名であり利休の弟子でもあった織部は、師匠の利休とまったく違うスタイルの茶碗を作り上げた。


こちらは利休が作った黒楽茶碗。それまでのお茶は、海外の高価な唐物茶碗が主流で上流階級の舶来趣味だった。それに対し利休は侘びを追求した日本独自の美意識の茶碗を造ることで国産品の良さを知らしめた。それは、美と機能性を兼ね備えた茶碗革命であった。


一方、織部焼きは「へうげもの(ひょうきんなもの)」と呼ばれた。侘びを追及した利休よりも、現代のポップアートのごとく庶民に流行。お茶を楽しむ人が増えた。あまりの流行ぶりに、皿や茶碗のことを全て「織部」と呼ぶのだと勘違いした人までいたという。


そして利休は、自分と異なる工夫をする織部を育てた。「マニュアル対応」を嫌ったのか、利休は茶のマニュアルをあえて残さなかったという。すべては亭主と客次第で正解はない、ということだろうか。彼は茶の深さをあらためて感じた。


ただアキちゃんの気を引くために、好きでもない和服と茶室を用意した彼には「茶の心」が欠けていたのかも知れない。そこで彼は高名な茶道の師匠を訪ねる事にした。


「私にどうか、茶の心をご教授下さい!」


そうして彼の厳しい修行がはじまった。

一方でマッチョに連れ去られたアキちゃんは「エステMOVE」に案内されていた。










「MOVE」ならこのように大人一人が寝られるスペースがじゅうぶんにあるのだ。
専属のエステティシャンによって至福の時を過ごすアキちゃん。
ひょっとしたら彼の事などもう忘れているかもしれない。


いや、たぶん忘れている・・・。