なぜNASAと日産は、自動運転技術の開発でパートナーシップを結んだのか?

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最先端の宇宙開発技術をクルマに転用し、火星探査機のために日産の工学技術を活用する。黒いアスファルトと赤い土。走る場所はまったく違えど、これほど相互に補えるパートナーシップはないかもしれない。

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日産とNASAは、街のあらゆる場所に、あるいは火星のあらゆるところに、ぼくらを導いてくれる自動運転車の開発を行うため、提携関係を結んだ。

1月13日、「日産の北米研究拠点が、アメリカ航空宇宙局(NASA)と、自動運転システムの発展、および、同技術の商業的応用を目指し、共同で研究・開発を行う5年間のパートナーシップを締結した」と発表された。研究開発の多くはシリコンヴァレーで行われる予定で、地球を走る乗用車だけでなく、遠く離れた惑星の上を動き回る探査機に使われる技術を生む可能性もあるという。

日産とNASAは、自動運転機能を搭載したゼロエミッション車(つまり電気自動車の日産リーフの改良車)を、NASAのエイムズ研究センターで開発し、試験を行う予定である。この研究センターは、カリフォルニア州サニーヴェイルにあり、日産のシリコンヴァレー研究センターからすぐ近くの距離にある。

「これはNASAのエイムズ研究センターのロボット工学者が有する能力と、われわれが提供できる自動運転技術に関する能力が、完璧に上手く組み合わさったものだ」と、日産シリコンヴァレー研究センター所長のマーティン・シアハウスは語る。彼は、NASAの研究主幹を10年間務めた人物でもある。

「タイミングもぴったりだ。というのも、市街地を自動走行するテストの開始準備が整っているからだ」と彼は言う。日産は、2020年までに自動運転の実用化を目標としている。NASAはこの目標の達成に大きく貢献できることだろう。

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火星を動き回る探査機は、完全に自動運転というわけではないが、日産に教えられることは多くあるはずだ。NASAは、地球から何百万マイルも離れたクルマを遠隔操作できることを証明した。これには最高レヴェルの工学技術が求められる。

「NASAは、耐久性に非常に優れ、信頼できるシステムの構築に関して、また、人と機械との間のインタラクションに関して、自動車メーカーに教えることのできる知識を多く有している」と、日産のカルロス・ゴーンCEOは話す。

「自動運転に関して述べると、われわれはドライヴァーとクルマの関係を、支配者と奴隷の関係から、パートナーのような関係に変えているのだ」と彼は言う。「これはドライヴァーには慣れが必要な根本的な変化であり、性能の良い、人間と機械の間のインターフェースが、これを実現する鍵になるだろう」。

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日産には、自律走行車に関して、NASAに提供できる知識が多くある。自動車メーカーはすでに、都市環境の中で、自力で走行できるクルマの試験を行っている。これは自律走行車が抱えている最も困難な課題だ。というのも、都市には、歩行者や自転車、道路工事など、数え切れないほど多くの変わりやすい要素があるからだ。これほど混沌とした環境に適応できるほど十分にスマートで、高速なシステムを開発するのは、至難の業だ。

岩や砂地、そのほかの障害物がある過酷な環境の惑星の表面を動き回るのもやはり困難で、NASAは、日産がすでに自動運転に関して行っている研究に頼ることができるだろう。「よく検討すればするほど、多くの類似点が見つかる」と、エイムズ研究センター所長のピート・ワーデンは言う。「われわれは火星に探査機を送り込んでいる。これには、それほど高度な自動運転技術は備わっていない。宇宙のさらに深いところや、より危険な場所に行くにつれて、このような自動運転技術を追加していかなければならない」。

まずは、デジタル分野での研究から着手する。第1のステップは、日産が自動運転用のドライヴィング・シミュレーターで使用している地図の範囲を広げることだ。現在は日産の研究センターの周辺地域のみを対象としているが、これをエイムズ研究センターの敷地にまで広げることが課題だ。その次の段階の計画は、年内に実際のクルマを一般道路で走らせることだ。これにより、日産がその技術を証明し、次の5年以内にその技術を生産に導入するという目標を達成することにつながるだろう。

「われわれには、時間と知識と専門的技術がある」とゴーンは言う。「すべてはこの言葉に尽きる。つまり、われわれは可能な限りの速さで開発を進めるのだ」。

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