ネトウヨの多くはただ祭りを楽しみたいだけ(写真はイメージです)

写真拡大

「ネットで書いてることをいちいち信じるヤツってホントのバカだと思うんです。僕もネトウヨをやってるけど、『誰かを釣って、叩いて、はい、おしまい』の世界。特に芸能人やマスコミ関係者、政治家がTwitterで本気になって議論もどきをして熱くなっている。それをみて楽しむこと。それだけが目的なのに……」

 都内の私立大学に通う大学3年生・大澤元輝さん(仮名・21歳)はこう話す。中学時代からネットに親しんだ大澤さんは、2ちゃんねる掲示板、TwitterといったSNSに親しんできたが、最近ではもっぱらTwitterを中心にパトロールしたり、書き込んでいる。

ターゲットを釣って祭りにすることが目的

「匿名の2ちゃんねる掲示板だと誰が参加しているのか目に見えない。でもTwitterだと実名や顔を晒してやってるのも多い。そんな連中を釣るんです。で、ボカスカに叩いて、“祭りにしちゃう。一連の流れを作ることができたらもう最高っすね!」(大澤さん)

“ネトウヨ”を自称する大澤さんだが、実は政治や社会問題には何の興味も関心もないという。Twitter上では、次世代の党副代表で元航空幕僚長の田母神俊雄氏を支持する発言を繰り返しているが、これは、「ファッションというか流行に乗っているだけで、本当に田母神さんを支持しているわけではない」(同)とか。

「政治家が『ネット世論で高い支持を得た』と話すのを聞くとバカだと思いますよ。あれは俺たちの責任のない書き込みで盛り上がってるだけですから」(同)

 とはいえ、マスコミへの敵対心のようなものと自民党と次世代の党以外の政党への不信感は拭えないと内面を明かす。

左翼の連中(註:この場合は自民党と次世代の党以外の各政党支持者を指す)やマスコミの奴らは、捏造で視聴率やアクセスビューを稼ぐことしか頭にない。だからこういう連中が顔出しで書き込みしていると、どこかで揚げ足取って“祭り”にしてツイートを削除させ、酷ければアカウント削除まで追い込む。ま、ゲームですよ。著名人をアカウント削除まで追い込んだ後の達成感はハンパないっすね!」(同)

 大澤さんは過去、ネット上で槍玉に挙げたのは歌手・やしきたかじんさんの未亡人を取り上げた『殉愛』(幻冬舎)の著者・百田尚樹氏、ニューヨークタイムズの田淵広子記者などなど。その対象は保守論客からリベラル記者までと節操がない。Twitter上で話題になった人物の他、タレントやマスコミ関係者、女性アナなどもターゲットにする。

「著名人や政治家からTwitterでブロックされたら逆に闘志が湧いてきますね。あらかじめ持っているTwitterの別アカウントを使って、何か揚げ足を取るネタを探す。時にはこちらも捏造画像を用いたりして“祭り”に仕立てて仕返しする」(大澤さん)

 大澤さんによると、何がしかの事件の当事者や政治家、マスコミ関係者などがTwitter上で何かコメントしたり、資料を出すと、たとえそれが正しい内容であってもまず、「捏造だ!」と書き込み、Twitter上の仲間や自らが持つ別アカウントを用いて拡散していく。そしてターゲットとなっている人物の過去ネット上での書き込みから、「行動パターン」「交友関係」「自宅住所」までネット上に晒す。

損害賠償1500万円を求められた!

 数年前、あるタレントのTwitter上での書き込みが気に入らなかった大澤さんは執拗にこのタレントの書き込みを揶揄する発言をTwitter上で繰り返し、その内容を纏めたブログも立ち上げた。

 しばらく経ったある日、大澤さんにとってはそのタレントへの中傷行為が過去のものとなった頃、プロバイダーから「発信者情報開示に係る意見照会書」という書類が送られて来た。平たくいうと「この書き込みをした人の住所や連絡先を聞いている人がいますが教えていいですか?」というお伺いだ。もちろん開示拒否と回答して送り返した。

 だが、しばらくするとプロバイダー側から、「発信者情報開示を求める裁判に負けましたので発信者情報を開示します」と連絡が来た。やがて弁護士名で「名誉毀損による損害賠償を求める。1500万円支払え」という内容を示した内容証明郵便が届いた。

「芸能人やタレント、マスコミ関係者、政治家、顔晒してる仕事の人がネットでちょっと書き込みされたくらいで……という気持ちはあります。言いたいことがいえない社会って息苦しいですね」

 目下、相手方のタレントと弁護士を挟んで示談交渉中という大澤さん。4月からは大学も最終年次、就活に励む時期だが、示談交渉の行方が気になり、就活にも身が入らない日々を過ごしている。

(取材・文/鮎川麻里子)