この日も4-3-3のアンカーで先発し、攻守のバランス役を保ったが、立ち上がりの劣勢をはね返すことはできなかった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 開始2分、日本のボールロストから、マブフートにペナルティエリア内への侵入を許した。その後もパスミスを繰り返し、セカンドボールを拾えない。相手のエース、O・アブドゥラフマンを長谷部と香川が挟み込んでもドリブル突破を許してしまう。開始早々に乾がシュートを放ったものの、それ以外はUAEのパワーに日本が押されているように見えた。

【マッチレポート|日本1(4PK5)1UAE】

 
 そして7分、日本の左サイドが崩される。後方からのフィードにマブフートが反応。森重、吉田が対応するが中途半端となり、あっさりと先制点を許してしまった。
 
 明らかに日本の選手の動きは悪く、ミスが目立った。後半、途中出場の柴崎のゴールで同点に追いつき、追加点を狙ったが、延長の前後半を終えてもそれを手にすることができなかった。
 
 PK戦の末にベスト8で敗退。呆気ない幕切れだった。
 
「この現実は真摯に受け止めなければいけないと思うし、ワールドカップであのような結果に終わって、そして、アジアカップでもこういう結果に終わった。ワールドカップが終わり、このアジアカップで皆さんに期待してもらえるようにと、そういう想いでやっていた。でも、ここで結果が出なかったので、なかなか、次への気持ちというのは……。とにかく今は終わったばかりで、整理がつかないですね」
 
 試合後のミックスゾーンで長谷部は、静かにそう話した。
 
 アギーレ体制での初めての公式戦。第一のテーマは無失点で終えること。そのための攻守の切り替え練習には時間を費やしているようだった。そして、試合の立ち上がりで、相手に脅威を与えるアクションを選手ぞれぞれが意識しているように感じていた。

 得点は奪えずともひとつのチェイシング、球際の激しさが、ゲームの主導権を日本へと傾かせた。しかし、ノックアウト方式の決勝トーナメントで、開始10分未満の早い時間帯で先制を許してしまった。
 
「失点の場面では、ディフェンスラインも集中していなかったし、ボールを出した選手に対してのプレッシャーもまったくなかった。ひとつのミスというか、ミスが重なった。確かに過去の3試合の相手とは、UAEはオフェンスのクオリティが高かった。ただ、あれくらいのクオリティのチームに短い間にチャンスを作られるというのは、まあ、なかなか説明がしづらいですね。
 
 試合の立ち上がりに集中していなかったかと言われたら、そういうこともなかった。選手はみんな決勝トーナメントに入ったら、一発勝負だというのは分かっていましたし。監督も試合に対しての入り方という部分では、しっかり持って行ってくれた。そこに関しては、そんなに問題はなかったと思います。実際、チャンスもありましたし。
 
 ただ、そういうなかで失点場面に関して言えば、確かに集中していなかった。ボールホルダーに行っていなかったし、ディフェンスラインも寝ていた。その原因の説明はなかなかつかないといえば、つかない」
 そして、こうも話している。
 
「120分これだけのチャンスを作って、1点しか取れていないというのは、自分たちの決定力不足であり、そういう力不足だと思いますね」
 
 敗因を探せばきりはない。
 
 新しいチームのサッカーに手応えを感じていたからこそ、こういう結果は衝撃だったに違いない。自分たちが蒔いた種ではあるものの、サッカーの厳しさを思い知るに十分な結果であり、現実だった。
 
「この大会が始まる前からそうでしたけど、今は3年後、4年後のことは正直考えられない。でも、今をやることでしか、そこには繋がらない。日本サッカーがこれから成長するためには、若い選手たちももっと出てこなくちゃいけないと思います。そういう部分の気持ちは、アジアカップ前と今とではそんなに変わらない」
 
 惨敗したブラジル・ワールドカップからの、再スタートを期して挑んだアジアカップ。しかし、その想いは挫かれた。
 
「結果から言えばもちろん挫かれていますし、新しい監督が来て、新しいシステムややり方をやったりして、手応えを掴んでいたなかで、こういう結果なので。うん。難しいですね」
 
 厳しい現実を跳ね返すだけの力は、まだ湧いてはこないのだろう。長谷部は自嘲気味に、少し笑ったようにも見えた。
 
 それでも、フランクフルトへ戻り、試合を重ねることで、前へと踏み出せるはずだ。
 
 ―日―日、一歩一歩を積み重ねることでしか、成長はできない。この悔しさを糧にするためにも、戦い続けるしかないのだ。
 
取材・文:寺野典子