一時は日本を救う同点弾を沈めた柴崎だが、「いくつもチャンスを作ったのに決めきれなかったので評価に値しない」と敗戦を厳しく受け止めていた。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 グループリーグの3試合、先発メンバーはいずれも同じ顔ぶれ。その後に続く準レギュラーが清武、武藤、豊田、柴崎、今野(左股痛で別メニュー)で、他の7選手(西川、東口、植田、太田、塩谷、昌子、小林)は“不動”のベンチ要員だ。綺麗な3層構造に分かれており、レギュラー11人を脅かす存在は見当たらない。

 例えば、長友の控えの太田は「モチベーションを保てている」と言うが、練習の雰囲気から察すると、彼に限らず準レギュラー組を含むサブメンバーからはレギュラー奪取への意欲がどうも感じられなかった。言い方を変えれば、スタメン組に気を遣いすぎているように見えた。しかし──。

 UAEとの準々決勝で途中出場ながら輝きを放った柴崎のプレーは、“希望の光”に見えた。「いくつもチャンスを作ったのに決めきれなかったので評価に値しない」と本人は一蹴するが、一度は死にかけたチームに命を吹き込む同点弾は、観る者の魂を揺り動かした。

「あそこはイメージどおり。自分が落として欲しいところに(本田)圭佑さんが落としてくれたので、イージーに決めることができた」

 印象的なのは、なにも得点シーンだけではない。延長後半の13分には、本田を差し置きFKを直接狙ったのだ。

「壁が低い場所もありましたし、GKの位置を見ながら相談というか、圭佑さんと話して……」

 柴崎は遠慮してか言葉を濁したが、本田はきっぱりと言った。「結論から言うと僕が岳に任せた」。惜しくもゴールの右に外れたとはいえ、あのFKは強烈なアピールになった。

「皆それぞれクラブでは中心でやっているので、(代表チームでも)ベンチで甘んじて良いわけがない。僕も今回は非常に難しい時間を過ごしましたけど、そういった経験も終わってみれば良いものになったと思う。

 総力戦というのは、初めてベンチの立場を経験して分かった。サブ組は良い準備をしていたし、僕以外の選手が出ていても役割をまっとうすることはできたでしょう。僕は、少しは出場できたので他の選手に比べれば救われた部分はあります」

 その後も何度か「ベンチメンバーは良い準備をしていた」と言うところに、“俺たちは控えで終わるつもりはなかった”というプライドを垣間見せた。

 アジアカップ後の代表についても、ポーカーフェイスを崩さず、冷静に語った。

「展望を話すのは難しいですが、(代表チームは)この20何年間やってきてものすごいスピードで成長してきましたけど、今は我慢する時期なのかなとも思います。ワールドカップで結果が出なかったり、こうした大会でベスト8で負けてしまうのは不本意。

 僕個人としては、短いスパンでチームを作る代表で活動する難しさを学んだ。でも、その難しさを経験しながら世界と戦うためのスタイルというか、力をつけていきたいと思う」

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

【マッチレポート|日本 1-1(PK4-5) UAE】