横へ、横へと短いパスをつなぐことで、ゲームを複雑にしてしまった日本。ブラジルW杯で批判された「自分たちのサッカー」から抜け出せていなかった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 シュートを35本放った日本が1点。3本放ったUAEが1点。
 PK戦を終えて喜んだのは、120分間守り続けたUAEだった。
 
 開始7分に不用意な失点を喫した日本は、81分の柴崎のゴールで延長戦に持ち込んだが、90分で片をつけるべきだった。
 というのも、UAEは必死に守っていたが、その組織は穴だらけだったからだ。
 
 UAEは120分間、4バックを崩さなかった。これは日本の3トップとは相性が悪い。4バックでは3トップを抑えるのが精一杯で、左から長友、もしくは右から酒井が出てくると対応が後手に回ることになるからだ。中盤の選手がSBを抑えに行くと、今度は2列目の香川や遠藤、さらには3列目の長谷部が空いてくる。
 
 この“盤上”の不利を、UAEは最後まで解消しようとしなかった。これはJリーグでもよく見る、無邪気な光景だ。
 
 つまり、日本は中2日のハンデはあったが、勝たなければいけないゲームを落としたということになる。敗因は、ひと言でいえば決定力不足だ。
 
 この試合の決定力不足は、攻撃に手数をかけすぎたということに尽きる。
 日本は圧倒的にボールを支配し、UAEがカウンターに出る気配がなかったこともあって、UAEゴール前にはいつも日本の選手がひしめいていた。
 
 日本の選手はパスが好きで、周りに味方がいるとシュートを撃たずにつないでしまう。本田や香川、長友が近場に集まってパスを回す。だが選手が近場に集まることで、UAEにとって守りやすい状況ができていた。ザッケローニ時代の悪い形に、日本は陥っていたのだ。
 
 選手たちは横へ、横へと短いパスをつなぐことで、ゲームを複雑にしてしまった。だがアギーレ監督は交代によって、もつれた糸を解こうとした。乾から武藤、遠藤から柴崎。つなぎよりも縦を突く選手を投入することで、ゴールの意識を高めようとした。
 
 この交代は柴崎のゴールという形で一度は実を結ぶ。だが勝利を引き寄せるには、1点では足りなかった。
 
 シュートを決めるということは、どういうことか。私たちはもう一度、考え直さなければならない。
 
 ボールを支配してパスを回し、俊敏に動き続けてゴールを狙う。この試合では日本人の特徴がしっかりと出たが、それは勝利にはつながらなかった。それは動きすぎると肝心なところで体勢が崩れたり、ボールタッチに微妙な誤差が生じるからだ。しっかりとシュートを撃つには、ときにはゆっくりとプレーしたほうがいい。
 
 ブラジル・ワールドカップで批判された「自分たちのサッカー」から、まだ抜け出すことができていないということだ。
 
 アギーレ監督は4試合連続で同じスタメンで戦い、そのツケが最後に出た。前線で身体を張り続けた岡崎は故障し、延長戦の前半で長友は動けなくなった。本田も動きに鋭さを欠いた。
 
 指揮官の偏った起用法も敗因のひとつだが、日本代表の層の薄さを考えたら致し方ないと思う。いまのJリーグは、代表の主力を脅かすような人材を育てられていないからだ。
 
 いつまでも同じメンバーで勝てるほどアジアは甘くない。
 そういうことを、私たちはワールドカップ予選でも痛感することになるかもしれない。
 
取材・文:熊崎敬

【マッチレポート|日本1(4PK5)1UAE】