ヨルダン戦で今大会初得点を決めた香川は、攻撃面の連動性にも手応えを感じている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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爆発の期待が、にわかに高まっている。
 
 UAE戦を翌日に控えた公式会見で、アギーレ監督は声を弾ませた。ヨルダン戦の終了直後には、「すごく良かったぞ」と香川に声をかけている。
 
「シンジの得点を喜んでいる。ペナルティエリアにどんどん入っていけ、自分がアシスト役になるだけでなく、得点もどんどん狙えと言っている。自信を膨らませていると思うが、彼が大きく変わったわけではないだろう。私よりシンジのことを良く知っているユウトが答えられるかもしれない」
 
 記者会見に同席した長友が、頬を緩ませた。背番号10を背負ってきた重圧を、背番号5は敏感に察していた。
 
「彼自身、大きなプレッシャーを背負って、なかなか点が取れなくて、難しい時期を過ごしていたと思います。この前のヨルダン戦で点を取って、本当に嬉しそうな彼の顔を見て、僕も心から嬉しかったです。あの得点を機に吹っ切れて、明日のUAE戦でも真司が点を取ってくれるように、僕もできるだけサポートします」
 
 復調の兆しをはっきりと感じさせるエースに、チーム内から期待が集まるのは当然だろう。パスの出し手としても高水準のプレーを保証する香川だが、彼の個性はペナルティエリア付近でこそ際立つ。対戦相手のレベルが上がっていく決勝トーナメントでは、フィニッシャーとしての背番号10がより重要度を増してくるだろう。
 
 そうしたことを理解したうえで、香川は冷静さを保っている。香川のプレーを誰よりも冷静に分析しているのは、ほかでもない彼自身かもしれない。
 
「前の試合で得点できたのは良かったですが、これを続けないとなんの意味もない。ひとつ取った後の次の試合でもゴールに絡むことが、一番大事だと思う」
 
 ベスト4入りをかけたUAEとの準々決勝は、1月12日のパレスチナ戦から12日間で4試合目となる。フィジカルコンディションには悪くない感触を得ているが、「身体は動けているけど、試合数も増えてきていて、目に見えない疲れもあると思う」と慎重だ。
 
 うっすらとまとわりつく疲労も、メンタルの充実が吹き飛ばす。表情に曇りはない。
 
「(ヨルダン戦の得点の)イメージは大事にしたい。周りとのタイミングが合えば、相手もマークにつきづらい。タイミング次第では、逆に点を取りやすいポジションだと思う。シュートの精度を高め、タイミングをもっと合わせていきたい。攻撃でも守備でも、細かいミスも減らしていきたい」
 
 すでに何度か話してきた課題を、香川はUAE戦を前にしても口にした。さらにプレーのレベルを上げていくために、チームの勝利に貢献するために、自分はなにをしなければならないのか――背番号10の責任と自覚が、彼の全身を覆っている。
 
「攻撃の形や連動性はすごく高まっているし、そこの精度は上がっている。それは自信を持ってしっかり続けながら、チームが勝つためにハードワークをしていきたい」
 
 冷静さのなかにのぞく野心が、UAE戦のピッチで弾けるはずだ。