夏は元気いっぱいだったのに、秋冬になったら気分が落ち込んでしかたない。
朝は体が重くて起きられないうえ、ついつい炭水化物や甘いモノばかり食べてしまう……。
そんな症状のある人は、「冬季うつ」を疑ってみる必要があるかもしれません。
ストレス社会のなかで急増しているうつ病ですが、意外と知られていないのがこの季節性のうつ、なのです。
「冬季うつ」の最大の特徴は、過睡、過食になる傾向が高いこと。
冬太りの原因は、ただの運動不足だけではない可能性もあるのです。


知らなかった! 季節によって起こるうつ

いまや日本だけでも70万人以上の患者がいるといううつ病は、仕事や人間関係のストレス、責任感の強い性格など、さまざまな要因が重なり合って発症するといわれています。
そのなかでも、いわゆるよく聞く「うつ」と違い季節との関係で発症するのが、季節性感情障害(SAD)、通称「冬季うつ」なんです。
この「冬季うつ」は、日照時間が短くなることで、脳内のセロトニンが不足してしまうことが一因だといわれています。太陽光と人間の精神の因果関係は大きく、日照時間が短いフィンランドなどの北欧では、冬季うつ発症率が人口の10%以上になるという報告もあるほど。日本でも日本海側の発症率が高く、日が短くなり始める秋から春まで症状が出る人もいれば、真冬の一時だけ発症する人もいます。


「幸せホルモン」セロトニンと、日光の関係とは

うつ病との関係が深いセロトニンとは、精神面に大きな影響を与える脳内神経伝達物質の一つで、心の落ち着きや安定に影響をもたらす大切な物質です。それゆえ「幸せホルモン」などといわれることもあります。
セロトニンが不足すると「うつ」だけでなく、キレやすくなったり、不眠になったり、さまざまな気分障害を引き起こしてしまいます。
セロトニンを増やす一番簡単な方法が、太陽の光をたっぷり浴びること。
日光を浴びるとそれだけで、脳内のセロトニンの分泌量が増えるため、晴れた日に気分が爽快になるのも、セロトニンによる作用があるからなのです。
「冬季うつ」の場合は、日射量の不足=セロトニン不足が原因だとはっきりしているので、しっかり太陽の光を浴びることで症状が快方に向かう傾向があります。
セロトニンは朝だけでなく日中も分泌されるので、仕事や家事の間をみつけて、意識的に日光浴することが大事です。その際に、ウォーキングやリズミカルな運動を組み合わせると一層効果的です。


食生活を見直し、セロトニンを増やそう

セロトニンは、食生活を見直すことで増強されることも、見逃せません。
セロトニンは、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンが脳に運ばれて、生成されます。トリプトファンは体内で生成することができないため、食事から体内に取り入れる必要があります。
トリプトファンを多く含むのは、肉、赤身魚、大豆などのタンパク質やナッツ類。
さらに、トリプトファンの吸収を助けるのが、炭水化物やビタミンB6(バナナやさつまいも、ワカメ、緑黄色野菜など)であり、これらを一緒にバランスよく食べることで、セロトニンが増強されます。
「冬季うつ」が太りやすい傾向にあるのは、トリプトファンの吸収を助ける炭水化物を体が欲しているから、ともいえるのです。
自覚しにくい「冬季うつ」ですが、「もしかしたら自分は冬季うつかも?」と思った人は、規則正しい生活を過ごせるよう日々の習慣を見直し、日中は外に出て太陽の恩恵を全身にたっぷり浴びましょう。