大相撲初場所もいよいよ終盤戦だが、目を引くのは入場者の多さと、幕内の取組にかかる懸賞の多さだ。
 満員御礼の垂れ幕は初日から下がりっ放しで、18年ぶりの15日間オール満員になるのは確実。一方、懸賞も初日からいきなり上限となる50本が結びの一番、史上最多単独33回目の優勝を目指す横綱・白鵬の取組でかかった。
 土俵上で受け取る袋の中身は1本3万円だから、現金150万円也。これをたったの4秒で下して受け取った白鵬は「ゴッツアンです。みなさんの期待の大きさを感じる。さすがに片手(で受けとる)というワケにはいかなかったね」とニコニコ顔だったが、この懸賞人気に泣き笑いしている力士もいる。再び幕内上位に盛り返してきた遠藤だ。

 日本人力士きっての期待の星だけに、この遠藤の取組にかかる懸賞は平幕力士ではダントツの多さで、かつて平幕の懸賞王といわれた高見盛(現振分親方)をほうふつさせる集中ぶりだ。
 懸賞は力士のありがたい副収入源。遠藤も「力になります」と目を細めているが、勝った方がもらえるシステムだけに、対戦相手もそれこそ目の色を変えてぶつかってくる。
 「常に剛腕エースと対戦する打者のようなもので、手抜きは一切できない。目一杯の力を出させられた上に、負ければ相手に二重に大喜びされる。全くたまったものじゃありません。つい2場所前も、遠藤に勝って分厚い懸賞の束を手にした常幸龍が『これで嫁が欲しがっていた電動アシスト自転車を買ってやれる』と会心の笑みを浮かべていました」(担当記者)
 高見盛の師匠、先代東関親方(元関脇・高見山)が、「ウチの高見盛は懸賞に殺されている。かわいそうで見ていられないよ」とこぼしていた姿が思い出されるが、遠藤もまさに対戦相手のいいエサに…。

 八百長はタブー。遠藤が幕内上位で懸賞の束を手にニッコリする日は来るか。