中田英寿、柳沢敦、小野伸二、稲本潤一、高原直泰らの海外組が不在のなか、控え選手が不動のスタメンをフォロー。チームワークのよさが光った

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いよいよ決勝トーナメントの戦いが始まる。サポーターの気分も盛り上がってきたところで、あの激闘の歴史をプレイバック! さらにモチベーションをあげるべく検証しよう。

日本中を興奮と感動の渦に巻き込んだ“アジア制覇”の歓喜、第2回は2004年、“反日”が吹き荒れた中国大会でのジーコジャパン、GK川口能活(よしかつ)の“神懸かり”連続PKストップだ!

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まるでサウナの中にスタジアムがあるかのような蒸し暑さ。連覇を狙う日本だったが、この中国大会では厳しい暑さに苦しめられた。

加えて、中国国内では反日感情の高まりが著しく、スタジアムを出入りする日本代表のバスに物が投げつけられるなどの妨害行為を受けることもしばしば。試合前の国歌演奏時には『君が代』だけが大ブーイングでかき消された。

だが、そんな不利な条件にも屈することなく、ジーコ率いる日本代表は数々のミラクルでこの大会を勝ち上がった。

グループリーグこそ2勝1分けで危なげなく突破したものの決勝トーナメントでは苦戦の連続。とりわけ準々決勝のヨルダン戦は壮絶だった。

延長を含めた120分間を戦ってもなお、1−1のまま勝負がつかず、試合はPK戦へ突入。すると日本は中村俊輔、三都主アレサンドロと左利きのキッカーがシュートの際に足を滑らせて立て続けに失敗。その一方で、ヨルダンは右利きのキッカーがふたり連続で難なくシュートを決め、圧倒的優位に立った。

ここで動いたのがキャプテンの宮本恒靖である。「ピッチ状態がフェアではない」と主審に抗議。主審はこれを受け入れ、逆サイドのゴールでPK戦を行なうよう変更したのだ。

これが日本の悪い流れを変えるきっかけとなったのは間違いない。ヨルダンは3人目までが全員決め、これが決まれば勝利という4人目をGK川口能活が見事にセーブすると、5人目は川口に気圧されたのか、枠を外すミス。サドンデスに突入した6人目でも日本は決められれば負けの状況を迎えたが、またしても川口がスーパーセーブで危機を救う。

そして、ヨルダンは7人目がポストに当て失敗。川口の“神懸かった”プレーで日本は死の淵からよみがえったのだった。

しかし、ミラクルはまだ終わらない。続く準決勝のバーレーン戦は2−3でリードされたまま後半ロスタイムに突入。今度こそ万事休したかと思われたが、前線に上がっていたDFの中澤佑二が起死回生のヘディングシュート。奇跡の同点劇で息を吹き返した日本は、延長で玉田圭司が決勝ゴールを決め、4−3で勝利した。

こうなれば、もはや流れは日本のものである。決勝は地元・中国と完全アウェーの雰囲気の中で対戦したが、3−1で快勝。日本は奇跡的な勝利を積み重ねた末に見事2連覇を飾った。控え選手も含め、チーム全員が一丸となって勝利に向かったからこそ起こり得たミラクルといえよう。

(取材・文/浅田真樹)

■週刊プレイボーイ5号(1月19日発売)「サッカー日本代表 アジア杯 『伝説の瞬間』!!」より(本誌では、オフトジャパンの初優勝からザックジャパンでの李のスーパーボレー弾まで一挙紹介!)