外食企業はかつて、アメリカ的なマニュアル経営でリーズナブルに同じ味を提供することに消費者のニーズがあった。しかし、好みが多様化した現在では、マニュアルにとらわれない接客、“for you(あなたのために)”という心配りが感じられるものが人気を集めると大前研一氏は分析している。その観点から、いま最も改革を迫られているコンビニが提供可能なサービスについて、大前氏が解説する。

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 いま最も改革のしがいがあるのはコンビニだ。もともと私は、コンビニの本質は自宅から半径250m以内にある“冷蔵庫・冷凍庫代わり”と指摘してきたが、今後はそのコンビニに“for you”のサービスが求められると思う。

 もはやコンビニ市場は乱立による飽和状態で、大都市では250mどころか100m以内に大手コンビニがひしめいている。セブン−イレブン同士、ローソン同士、ファミリーマート同士などでも競争している。

 そうなると、本部のマニュアルにとらわれずに独自サービスを提供したり、仕入れる商品をセレクトしたりして、どのように他店との差別化を図るかで勝負が分かれるだろう。つまり、もっと店長が前面に出てコンシェルジュ化し、お客との接点が柔らかい親近感のある店にして“顔なじみのお得意さん”を増やさないと、生き残っていけないと思うのである。

 たとえば、具体的に提案するなら、ワインセラー代行サービスだ。自宅にセラーがない人やセラーがあっても小さくて入りきらなくなった人のワインを一定期間、無料で預かるのだ。これなら店側のコストはとくにかからないし、ワインを引き取りにきた時におつまみなどを買ってくれる可能性も高い。なにより、そのサービス目当ての(かなりゆとりのある)常連客が増えるに違いない。

※週刊ポスト2015年1月30日号