飲酒を多く続ければ、前で指摘したように胃も肝臓も相当弱ってしまう。そんな時、真っ先に打つ手として食事法で改善していくことが大切だ。とりわけ大事なのはタンパク質の補給で、それも消化吸収のいいものを最優先すること。例えば、豆腐、鶏のむね肉、白身魚などが身近な食材として挙げられる。
 「しかし、それらの食材を使っても油は消化吸収に時間がかかるので、炒め物やフライなどの調理法は避けたい。また、同じタンパク質でもタウリンがたくさん入った魚介類がお薦め。シジミ、アサリ、今の季節ならホタテやカキもいい。タウリンには肝機能の修復を高める作用があり、疲労回復にもつながります」

 生活習慣病改善運動に取り組む管理栄養士・前田和美氏はこう説明し、「弱った肝機能を回復させるには、アスリートが活用しているアミノ酸、BCAAの補給もいいと思います」と、以下のように続ける。
 「BCAAは運動時の筋肉の損傷の修復に効果があるアミノ酸として知られる一方、肝炎や肝硬変で基本の食事療法に取り入れられています。壊死した肝細胞を再生させる“手助け”をするんです。つまり、連日のようにお酒を飲んで多少なりともアルコール性障害が出ていると考えれば、肝臓では組織が壊死と再生を繰り返し、そこへBCAAを補給すれば肝細胞を活性化させることが考えられます。機能低下した肝臓を、元の状態に戻すには有効と考えられます」
 とはいえ、このBCAAは人の体内で作ることができない。補給手段としてはサプリメントが便利で、手軽な飲料はランニングステーションなどで購入できるという。

 最後に、呑兵衛につきものの、“二日酔い”の防止法をお伝えする。
 まず、飲酒をする人で二日酔いを味わったことのない人は少ないだろう。二日酔いは、飲んだ酒が体内で分解されるまでの過程で起きるものだ。飲酒して体内入ったアルコールは、約20%が胃で吸収され、残りのほとんどが小腸で吸収されるため、血液に溶け込み全身を駆け巡る。
 「アルコールは脳に達すると脳を麻痺させ、その濃度に応じて酔いの感覚をもたらす。飲んだアルコールはアセトアルデヒドに分解されるが、さらに酵素の働きで酢酸に分解され、最終的には無害な水と炭酸ガスになって排出されます。しかし、中間代謝の産物であるアセトアルデヒドが完全に分解されないと体内に酒が残り、二日酔いになるのです」(専門医)

 つまり、二日酔いを防ぐには、いかにしてアセトアルデヒドを早く分解し無害にしてしまうか。その分解能力差が分かれ目になる。「最近酒が残る日が多い」と二日酔いを自覚するようになると、肝機能が弱っていると判断され、処理能力が落ちたといえる。
 「二日酔いは肉体的だけでなく精神的にも自己嫌悪に陥る。すでに脱水症状を起こしているため、大量に水分補給をすることが第一。さらに肝臓でのアルコール分解にはエネルギー(糖分)が必要で、水・お湯よりもスポーツドリンクで水・糖分を同時に摂ることが有効。お茶、コーヒーはカフェインなどが含まれるため、利尿作用が働き水分補強には不向き。また胃炎を起こしている場合も多いため冷たい飲料は避けたいところです」(同)

 アルコールを全て否定するわけにはいかない。徒然草にも“酒は百薬の長”とある一方、「万(よろず)の病は酒よりこそ起これ」(吉田兼好)とも書かれている。要は、リスクを知ってほどほどに付き合うことだ。