チャンスを決め切れなかったことに言及するメディアは多かった。ノックアウトラウンドで、どれだけ改善されていくだろうか。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 韓国に敗れてグループリーグ首位通過を逃し、日本と準決勝で対戦する可能性が高まったことで、オーストラリアではにわかに日本への関心が高まってきている。

【アジアカップPhoto】日本 2-0 ヨルダン
 
 日本対ヨルダン戦の直後、準国営放送『SBS』のサッカーポータル『The World Game』に上がった速報記事には、「日本が順当に準々決勝に進出」という見出しの記事が、久々のゴールで破顔一笑の香川の大きな写真とともにアップされた。
 
「ヨルダンに勝利して準々決勝に勝ち上がったが、前回王者はまだ万全ではない」という一文で始まるこの記事は、淡々と試合経過を伝えつつ、ところどころに日本への苦言が散りばめられていて興味深い。
 
「日本は82分の香川のゴールまで、数えきれないくらいのチャンスを無駄にした」、「日本は無失点での勝点9でD組をトップ通過したが、メルボルンでのパフォーマンスは期待されるほどのレベルに達していなかった」……といった辛口の筆致は、日本への評価の高さの裏返しだろうか。
 
 一方、『FOX Sports』ウェブ版は、「日本がヨルダンを圧倒」という見出しの記事を打って、「アギーレ監督の日本はゲーム支配。パスワークやボールコントロールなどの質の高さで2万5千人を超える観衆の目を楽しませた。唯一の失望は、本来では決まるべきだったいくつかのゴールを決められなかったことだろう」と伝えている。
 
 加えて、スタジアムを埋めた日本人の観客たちにも触れ、「サポーターたちが創り上げた素晴らしい雰囲気により、記憶に残る夜となった。およそ2時間、スタジアムの観衆は“東京”に存在した」と書き記した。
 
 ちなみに、この試合を生中継した『FOX Sports』のスタジオ中継には、元オーストラリア代表監督のピム・ファーベーク、元代表FWでアギーレ監督のオサスナ時代の教え子でもあるジョン・アロイ―ジ、そしてプレミアリーグでも活躍した元代表GKのマーク・ボスニッチが顔を揃えた。
 
 ボスニッチは試合全体を評して、「日本にとっては素晴らしい結果。前半からトップギアで、後半はややダウンしたものの、強さは十分に発揮した」と、日本のそつのない戦いぶりを評価している。
 
 対して元“サッカルーズ”監督は、「日本があれだけやれたのは、ヨルダンの対応が拙かったから。日本は確かにアジアのトップレベルだが、ここから先(の決勝トーナメントの試合で)は決めるところで決めていくことが一番大事」と、今後の課題にも言及した。
 
 アロイージは、八百長疑惑の渦中に置かれている、今も交友関係があるという“恩師”を慮ってか、「今の状況下、日本は勝ち続けることが大事で、それこそが彼らの狙いだ。そしてこのゲームでは、きちんとイラク戦から進歩を見せて勝った」と、かなりポジティブに論評している。
 
 さらにスタジオでは、準決勝で実現するかもしれない「日豪戦」にも話が及んだ。
 
 アロイージは、「日豪戦になると、オーストラリアはいつも五分以上で戦う。日本は今まで、アウェーでの対決では力を出せていない。ホームのオーストラリアこそが、強い日本を止めることができる」と、準決勝の予想を披露する。
 
 しかし、これに対してすかさずファーベークが、「日本戦よりもまず、(次戦の準々決勝で対戦する)中国のことを心配した方が良い」と“ツッコミ”を入れる場面もあった。
 
 いずれにせよ、大会が進むにつれて高まってきた日本への関心(警戒?)。準決勝での顔合わせが実現すれば、それが沸点に達するのは間違いない。
 
文:植松久隆(フリーライター)