ようやく生まれた背番号10のゴール。本人も、チームメイトも、サポーターも喜びを爆発させた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ついに、来た。
 
 1-0で迎えた82分だった。清武が左サイドの武藤へ展開する。ゴール前へ先行する本田を追いかけるように、香川がフリーランニングのスピードを上げていく。
 
「中へ入るタイミングは計ってプレーしていましたし、常に意識している。そのなかでなかなかね、今日もタイミングが合わないところもあったんですけど、最後に武藤が上手く見てくれました」
 
 ペナルティエリア内左へ持ち込んだ武藤は、対面する選手の股間を抜いてラストパスを通した。ゴール前へグラウンダーのクロスが入る。
 
 背番号10が、飛び込んできた。
 
「相手の股を狙ってくれた武藤のチョイスに感謝です」
 
 至近距離からフリーで放たれた一撃に、相手GKができることはほとんどない。右足インサイドでしっかりとインパクトした香川のシュートが、ゴールネットを揺らした。
 
 チームメイトがすぐに駆け寄る。背番号10を中心とした歓喜の輪が、今大会で初めて広がった。
 
「ゴールが取れていないことに対して、悔しさはありましたけど、それだけがすべてじゃないと自分では思っていました。攻撃的な選手として、そこは常に求められるので意識していましたけど、そこまでナーバスにはなっていなかった。もちろん、結果を残して証明していかなきゃいけない世界ですから、チームの勝利と自分の結果が比例したことは良かったですし、それがなにより嬉しいです」
 
 チームメイトの荒々しいほどの祝福は、香川が抱く責任感をさらに太く、強くした。
 
「ゴールはすごく嬉しかったんですが、みんなもすごく喜んでくれたのは、ホントに素直に嬉しかった。やっぱりチームがあっての自分だと思っていますし、それをある意味再認識したというか」
 
 サポーターの支えも胸に響いた。試合後には感謝の気持ちを込めて挨拶へ向かった。
 
「今日もすごくたくさんのサポーターが入ってくれて、ホントにホームの雰囲気でやれました。サポーターのみんなが喜んでくれたので、それがあるから自分は戦えると思っているし、やっぱりサポーターだったりチームメイトだったりの存在の偉大さを感じましたし、周りの人たちに感謝して、謙虚にやっていきたいと思います」
 
 ヨルダン戦からゴールシーンを切り離すと、「まだまだ」の思いがこみ上げる。プレーの精度の追求は、引き続き香川のテーマだ。
 
「攻守において個人的にミスが多いですし、最後のところの精度はまだ上げていかなきゃいけない。これまでチームメイトに心配をかけていたじゃないですけど、そういうところでね、まずはチームが勝つために自分も戦いたいですし、次もゴールに絡むことが一番大事だと思う。そういう意味でUAE戦でも、チームが勝つために貢献したい。ハードワークしていきたいです。中2日ですけど、しっかり準備していきたい」 
 
 3連勝でベスト8へ進出したチームの勢いを、背番号10の覚醒はさらに勢いづけるだろう。大会連覇への必要条件を、日本はついに手にした。