香川に待望のゴールが生まれた。香川自身、そしてチームが勢いに乗るきっかけになる可能性は十分ある。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ヨルダン戦は危なげない試合だった。後半にわずかに緩み、安易なミスからファウルを犯すシーンこそあったが、本田が1点目を決めた時点で、グループリーグの1位通過が見えたと言っても良いだろう。

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 誰もが待ちわびていた香川にゴールが生まれたことも大きかった。イラク戦では全体的にボールに絡んでいたとはいえ、正直、今のプレースピードや状況判断はベストからは程遠いものだ。ただ、ゴールは選手の気持ちを楽にさせてくれる。香川が本来持っている技術やアイデアが目覚めるきっかけになれば、チームもますます勢いに乗っていけると思う。
 
 しかも香川のゴールは、途中出場の武藤が左サイドを突破して上げたクロスから生まれた。イラク戦の清武に続き、ベンチメンバーがアギーレ監督の采配に応えたことで、チーム全体のムードも上がっていくはず。総力戦になる決勝トーナメントを占ううえで、戦力の底上げができた意義は大きい。
 
 試合後に本田も言っていたように、苦戦を強いられた前回大会とは対照的に、余裕を持ってグループリーグを突破できたのは、選手が自分たちで感じている以上に、アジアの他の国よりも『個の成長』が実を結んでいるからだろう。
 
 もちろん、オーストラリア、韓国、イランといった力のあるチームと対戦しなければ、成長の度合いをはっきり測れない部分はある。それでも、チャンスらしいチャンスを作らせず、3試合を失点ゼロで抑えたのは評価すべき点であり、自信にもつながる。選手のパフォーマンスも監督の采配も、その“横綱相撲”ぶりには、100点満点中90点を与えてもいいと思う。
 
 ただし、決勝トーナメントは負けたら終わりだ。一発勝負の難しさのなか、ゲーム運びがひとつの鍵になる。次のUAE戦まで中2日。ワシ個人としては、自陣でボールを奪った際に前線への一本のパスでシュートに持ち込むような、ロングカウンターの精度を高めるトレーニングに取り組んでほしい。現状アジアレベルでは相手を押し込んでいるため、長い距離のカウンターを繰り出す場面は少ないが、欧州や南米と戦う際には、日本は逆の立場になるからだ。
 
 また、高さとフィジカルを備えた豊田を、チームにどう取り入れていくか。今大会の最大の目標がタイトル獲得であるのはもちろんだが、今後に向けてコンビネーションを構築していく場所でもある。攻撃のバリエーションを増やす取り組みも同時に進めてもらいたい。
 
解説:金田喜稔(元日本代表)