イラク戦は厳しいディフェンスで無失点に抑えた日本。ヨルダン戦でも隙のない守備が必要だ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 グループリーグの最終戦、高温多湿のブリスベンより湿気が少なく涼しいメルボルンで戦うのは、「いつもなにかと苦しめられる」(吉田)ヨルダンだ。負ければ早期敗退もありうる“サバイバル”を前にしながらも、CFの岡崎にまるで焦りはない。こうした緊張感のなかでやる試合でこそチームは成長できると、むしろ歓迎のスタンスを示した。
 
「考え方は決勝トーナメントと一緒。ヨルダン戦から決勝トーナメントが始まると思って今は練習しているので、一度も負けずに大会を終えたい。それができなければ、優勝する力がなかったということです。こういうドキドキ感は公式戦でしか味わえない。仲間に厳しく要求したり、チームを盛り上げていったり、(ヨルダン戦が消化試合ではなくなったことで)そういう部分を続けていけるのも、良い機会だと思っています」
 
 2戦続けて完封勝利を飾っているとあって、チームは良い雰囲気のなかで練習をこなしている。ただ、「無失点できているのは自分たちにとって自信になっている」という森重は、それが「過信につながらないよう、ヨルダン戦に入りたい」と冷静に話していた。
 
 たとえ0-1の敗戦でも、イラク対パレスチナ戦の結果次第ではグループリーグ敗退が決まるシチュエーション。先制点が文字どおり重要なだけに、先発メンバーを大きくいじる可能性は低い。代えるとしても、乾が守備の局面であまり機能していない左ウイングに、攻撃力と献身さを兼備した武藤を抜擢する程度か。
 勝つ以外に決勝トーナメントへの道が開けないヨルダンは、おそらく開始直後からアグレッシブに来るだろう。仮に押し込まれる展開になれば、パレスチナ戦で一挙4ゴールを叩き込んだアルダルドゥールあたりをきっちり抑えたい。
 
 イラクとのグループリーグ初戦の映像を見た酒井高は、ヨルダンについて「前線に個人技のある選手が何人かいるので気を付けたい」としたうえで、「カウンターにも警戒したい」と話していた。
「(日本戦で)イラクもカウンターを狙っていたので、ヨルダンも彼らと同じように戦う可能性はあります。どういう出方で来るのか、そこをしっかりと見極めたい」
 ヨルダンからゴールを奪っての1点差負けなら、日本は無条件で2位通過。相手の勢いを消す意味でも、先手を取れるかは最大のポイントになる。
 
 その点では、厳しいマークに遭ったイラク戦で沈黙した岡崎の“逆襲”に期待したい。「今年は有言実行」を目標に「アジアカップでは1トップとしてゴールにこだわりたい」と、国内合宿から繰り返しそう言ってきたストライカーの真価が、この一戦で問われるだろう。パレスチナ戦以上にイラク戦のほうが左右から上がるクロスの質は高かったので、ヨルダン戦で“サイドから揺さぶり、岡崎で仕留める”形が実現できれば、チームにとっても理想的な展開になる。
 
 イラク戦で左太ももを負傷した今野が治療に専念中の中盤では、展開次第で柴崎に出番があるかもしれない。こうした国際舞台では、ピッチに立ってこそ得られるものがあるはずで、代表歴の浅い選手に経験を積ませられるシチュエーションを作るためには、なにより複数のゴールが不可欠だ。イラク戦のように決めるべきところで決め切れず、相手を仕留められないようだと……。決勝トーナメントに向け、“テストの場”を設けられなくなる。
 
 正直、恐れることなどない。グループリーグ最大の強敵と目されたイラクの実力も、吉田に言わせれば「あまりクオリティが高いとは思わなかった」というものだ。そのイラクとほぼ互角だったヨルダンに内容で劣るようなら、今の日本代表は所詮その程度のチームだったということだろう。
 
 パレスチナは、2013年3月のワールドカップ予選で日本から決勝点を決めた得点源のハイエルが体調不良で欠場の見込み。そうなれば、求められるのは横綱相撲──。ヨルダンが立ち直れないほどの、圧倒的なスコアで力の差を見せつけたい。
 
文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト)