たすきを投げ渡すと失格であることは認めた上で、投げ渡し禁止を含めルールには常に一考の余地があると思う件。
ルールは面白くするためにある!

とかくルールとして明文化されると、それを「守らなくてはいけない」という意識になりがち。確かに悪法も法なりで、それぞれが自分の判断でルールを無視するようになれば秩序は保たれません。ただ、ルールというのはルールを守るためではなく、ほかのもっと大切なものを守るためにあるということは意識しておきたいもの。

一般社会においてのルールというのは、悪事を裁くためだったり、禁止事項を示すためにあったりもしますが、最終的には人々の幸福と平和を守るためにあるはず。幸福になるには、どういう社会がよいのか、何をしてはいけないのかを、みんなで考え、守ろうというものでしょう。

スポーツにもルールがありますが、それは最終的に「面白い」ものにするためのはず。不公正やインチキを許さず、素晴らしい技術や比類なき体力が存分に発揮され、やり甲斐と見る甲斐があるものにしていくこと。そうしたひとつ先の目標を見据えるならば、ルールというのは日々更新されていくのも不自然なことではありません。「こうしたらもっと面白くなるんじゃないか?」という視点で。

日本の選手が活躍するとすぐにルールが変えられる、なんて話も世間にはあります。「日本潰し」だ、とも言われます。もちろん、日本側としては面白くないですので、僕もコチラに不利になりそうな改定にはイラッとします。しかし、総体としてどちらが面白いかと問われれば、受け入れざるを得ないこともままあるもの。小さな身体を利して、ルールの恩恵を受けるような勝ち方がつづけば、「もっと馬力のあるヤツのダイナミックなプレーが勝ちにつながるように調整すべきでは?」となるのは不自然なことではないと思うのです。イラッとはしますが。

そういう意味では、18日の都道府県対抗駅伝での中継地点における事例も、別の視点でのとらえ方があると思います。

この大会では、愛知県の1区の走者が区間途中で脱水症状?低体温症?を起こし、フラフラしながら中継地点に向かっていました。最後は這うようにして進み、ようやく中継地点付近まで来たのですが、あと1メートルというところで待ち受ける2区の走者にタスキを投げ渡したのです。しかし、そのタスキが投げ渡されたのは2区のスタート位置より後ろ、1区の部分においてでした。結果、愛知県は失格となり、テレビ解説などでも「この判定は厳しい」という声が挙がることになったのです。

↓たすきを投げて渡したら失格になった…!


あとほんのちょっとだったのに…!

タスキが2メートルくらいの棒状のバトンだったら届いていたのに…!

次走者も拾わずに待っていればよかったのに…!

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この中継は明らかに失格です。日本陸連が定める駅伝競走の基準には、中継についてのルールが定められていますが、「惜しい」とか「ルールの隙間」とかではなく、最初から想定されていたいくつかの禁止事項にドストライクで抵触していますので、これは失格にならざるを得ないプレーでした。

↓中継場所も、中継方法もルールに照らせばどちらも不正としか言えない!
<日本陸上競技連盟駅伝競走基準>

第6条 中継
1.たすきの受け渡しは、中継線から進行方向20mの間で行う。中継線は幅50mmの白線とする。中継の着順判定およびタイムの計測は、前走者のトルソーが中継線に到達した時とする。

第9条 たすき
3.たすきは必ず前走者と次走者の間で手渡さなければならない。

http://www.jaaf.or.jp/athlete/rule/pdf/21.pdf

トルソー(胴体)が中継線に届いていない!(前走者がゴールしていない)

中継線の手前からたすきを投げている!(正規の受け渡しが行なわれていない)

距離は短いけれど、目の前の投げ渡しを見て見ぬフリはできない!

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不正の意志もなく、ほかの競技者が不利をこうむるわけでもありません。あと一歩這ってからたすきを差し出せば何の問題もなく、その意味では、見ないフリして流しても大勢に影響はないプレー。ただ、50センチなら投げていいのか、上手く投げられるなら10メートル投げてもいいのかなど、現状のルールの拡大解釈を始めればキリがないので、ここはしっかりと厳しく判定しないといけないでしょう。

駅伝競技、リレー競技の最大の見どころは「中継」にあります。別にこれ、選手がそれぞれバラバラに走って、タイムを合算してもいいわけじゃないですか。でも、あえてリレーでやるのは、たすきをつなぐことに団体種目としてのやり甲斐があるからでしょう。たすきをつなごうと必死になる前走者と、たすきを待ってやきもきする次走者の間のドラマに見所があるからでしょう。中継の失敗による思わぬ逆転劇が勝負を盛り上げるスパイスとなるからでしょう。

その「中継」は、厳格でなければ面白くない。「つなげるか、つなげないか」というギリギリのところでの攻防のために、バラで走ってもいいものをあえてリレーしているのですから。受け渡しは厳しくやっていかないといけないはずです。

↓例えば、競泳のリレー種目では「前泳者がゴール板にタッチする前に次泳者の足が離れた」場合は、見た目にわからない程度でも失格です!


バラの実力的にどうか、ではなく中継をちゃんとできなければリレーでは失格!

そこは厳格にいきましょう!

↓例えば、リュージュ競技のチームリレーでは「前走者がゴール地点のパネルにタッチする」ことで次走者へのつなぎとしますが、もしも前走者がタッチを空振りしたら失格です!


これも別に空振りしてもいい気がするが、失格です!

中継できたかどうかは厳格に判定しますので、失格です!

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競泳の場合、これ以上どうやるのかという気はしますが、リュージュの場合は、何も板を叩かなくても、ソリとセンサーの接触で判定することもできるでしょう。ミスによる逆転劇は楽しみではありますが、板を叩けるかどうかのミスで競うのはドッチラケな気もします。「板は止めてセンサーにしましょう」とか「次走者のソリに体当たりしたら中継完了としましょう」とか「中継地点に一斗缶を立てて、突っ込んだところで中継完了としましょう」とか、現状のルールを守るばかりではなく、ほかの考えがあってもいいはず。

駅伝もそうです。中継地点で待っているヤキモキ具合には見所がありますが、フラフラした選手を見ているのが面白いのかどうかには異論があるでしょう。フラフラした選手ひとりによってチーム全部が失格になるのは勿体ないですし、それゆえに体調不良があっても走者は無理をしてしまう。アクシデントは見たいが、残酷ショーまでは求めない…ならばそこに合わせたルールを新たに検討すればいい。

たとえば、ここで「次走者が戻ってもいい」ことにしたらどうでしょう。前走者がフラフラした場合、その場にタスキを置いて離脱し、次走者がその地点まで拾いに行くのです。前走者のタイムはノーカウントになりますし、次走者も実力以下のタイムしか出ないでしょうが、最大の目的である中継は達成することができます。「俺が2キロ長く走ります」と次走者がコースを1キロぶん逆走していく姿、ウケるかもしれません。先導車に轢かれる可能性を考えれば導入は難しいでしょうが、「今より面白くするために別の方法はないか?」と考えることは無駄ではないのです。

「たすきを渡す」という形式に「投げてもいける?」的カンチガイを生む原因があるなら、SASUKEのようにゴール地点のボタンを押すという手もあります。プシューッと吹き出す煙で中継地点も盛り上がるかもしれませんし、これなら「投げ渡しによる惜しい失格」も生まれないでしょう。

失格は失格。

でも、責められるほどの話ではなく、惜しかった。

たすきより、もっと面白くなる方法があるかもしれない。

そういうことを考えるキッカケとして、この珍しい事例を活かしていきたいもの。その結果、総意として「投げてもいいことにしましょう」と新ルールを設けるに至ったなら、それはそれでアリとして「投げ渡し」のルールを定め、厳格に運用すればよいのです。バトンから円盤へ。ヨソの円盤を円盤で撃ち落とす終盤のテクニック勝負へ。紙飛行機型の円盤、華麗に登場。何か新しい面白さがあるかもしれませんからね。

投げやすいようにバトン代わりにヤリを使うのもアリかもしれません!