今野、岡崎の負傷でチームに暗雲も、グループ1位通過を狙う長谷部

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 相手を圧倒しながら、本田圭佑(ミラン)の1点にとどまった16日のイラク戦から一夜空けた17日、日本代表はブリスベン郊外のグラウンドでトレーニングを実施。1次リーグ突破のかかる20日のヨルダン戦(メルボルン)にいち早く切り替えた。

 ここ数日で一番の暑さに見舞われたこの日、日本代表のハビエル・アギーレ監督は「昨日はいい試合だったんでそれを続けよう。今日は暑いから短時間で集中してやろう」と短く声を掛けて練習をスタートさせた。ピッチ上に今野泰幸(ガンバ大阪)の姿はなく、岡崎慎司(マインツ)もクールダウンのランニングに参加せずに別調整をこなした。

 今野はイラク戦後にピッチにうずくまるなど左足の状態が芳しくない様子だったが、日本代表メディアオフィサーの説明によると、左もも裏に違和感を訴えており、メルボルン移動後に病院で診察を受ける予定という。岡崎の方は左すねの打撲で大丈夫そうだが、国際経験豊富な2人が離脱するようなことがあれば、ヨルダン戦に暗雲が漂う。次のゲームで日本が0−1で敗れ、イラクが5点以上の大量点を取り、パレスチナに4点差以上の勝利を収めれば、日本が3位で1次リーグ敗退の憂き目に遭うという最悪のシナリオも考えられるだけに、本田は「そういう危機感は常にある。パレスチナが大差で負けることが考えられるんで、次はイラク戦同様、しっかり立ち上がりから集中して入っていきたい」と気合を入れていた。とにかくチーム全体が早い回復を図ることが先決だ。

 2試合連続フル出場中のキャプテン・長谷部誠(フランクフルト)は「攻撃の組み立てという部分ではいい形が何度も見られたし、パレスチナ戦よりもイラク戦の方がいい部分が多かった。しっかり勝ち切るって意味では1−0で勝てたのはよかったと思います」と、チームの進化を実感している様子だった。その反面で、「後半の立ち上がりはあまりよくなかった。選手交代もあって持ち直したところはあったけど、うまくいかない時間帯にいかに自分たちのペースに戻せるかが大事」と課題も口にしていた。

 ヨルダンはパレスチナ戦で4点を叩き出したFWハムザを筆頭に、勢いに乗らせたら怖い選手が少なくない。実際、日本は2013年3月にアンマンで行われた2014年ブラジルワールドカップアジア最終予選を1−2で落としている。あの時と状況は全く異なるが、サッカーは何が起きるか分からない。とりわけアジアカップはレフリングが不安定で、日本に不利な笛が吹かれないとも限らない。そのあたりを長谷部も指摘していた。

「レフリングに関しては、ヨーロッパでプレーしているいつもの感覚でやるのは難しいかなと。しっかり頭の切り替えをしないといけない」と彼は言う。イラク戦でも乾貴士(フランクフルト)のサイドで繰り返しファールを取られた。相手のキッカーの精度の問題もあってFKから決定的チャンスが生まれることはなかったが、「レフリーとの兼ね合いもありますけど、1つのミスが命取りになると思う。昨日もファールを同じような形で何度も与えてしまった。そこは自分たちが意識しないといけない」と、川島永嗣(スタンダール・リエージュ)も注意すべき点に挙げた。

 日本としては普段の冷静さを失うことなく、1位通過のために全力を注ぐべき。「日程とか移動を考えたら1位抜けの方が全然いい。しっかり勝って次に進みたい」と長谷部も強調する通り、勝利のみを追求していくことが肝要だ。

文=元川悦子