王者ゆえの重圧と周囲からのマーク、そして監督の八百長疑惑といった不安材料の影響をいっさい感じさせなかった戦いぶりに、宿敵のメディアも称賛の声を惜しまなかった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本対イラク戦直後、韓国メディアが報じた試合速報記事の見出しのなかで、最も多く登場したのは本田の名だった。
 
 決勝点となるPKを決めただけに当然といえば当然だが、総合ニュースメディアの『mydaily』は「ゴールポストハットトリックの本田、日本の致命的な武器」と題し、次のように報じた。
 
「日本のエースは本田だ。岡崎、香川、長友など、欧州でプレーする選手は他にもいるが、本田の強烈さは特別だ。個人での突破とゴール前への飛び出し、無回転FKまで備えている。イラク戦でも、本田は日本で最も相手に脅威を与えるアタッカーだった」
 
 イラク戦で代表Aマッチ150試合出場を達成した遠藤を称える記事もある。総合ニュースサイトの『OSEN』は「遠藤、日本の隠れたエースであることを証明」と題して、こう報じている。
 
「日本サッカーのスタイル上、遠藤は重要だ。彼の能力は代えが利かない。(遠藤と交代で出場した)今野では力不足だった」
 
 ただ、その遠藤が外れた後に日本が見せた、パスサッカーに注目する記事もあった。総合ニュースサイト『JOY NEWS24』は、「後半24分、イラクを挫けさせた日本のパス10回」と見出しを打った記事のなかで、こう評価している。
 
「後半24分の場面は、日本サッカーの完成度を見せてくれた。1-0でリードしている状況でも、追加点を狙う貪欲さもあった。ボールはGK川島から始まって10回のパスを経て、岡崎のシュートで終わった。シュートはイラクDFに当たったが、そこまで一度もイラクのプレスに遮断されることはなかった」
 
 サッカー専門メディア『FOOTBALLISTA』も、「PK判定直前、日本の“名品パス”が光った」という見出しとともに、「本田がPKを得た過程は、卓越したポジショニングと集中力、正確さで武装された日本の“パスサッカー”を端的に見せてくれた」と、賞賛を惜しまなかった。
 
 同メディアは、韓国代表のグループリーグ最終戦となるオーストラリア戦が同じブリスベン・スタジアムで開催されることもあって、「最悪のピッチという問題を解決する方法を見せてくれた、日本の間隔とタイミング」と題した記事も掲載。そのパスサッカーを高く評価した。
 
「アギーレ・スキャンダルの日本、黄金バッジのプライドを守った」と報じた『OSEN』などは、アギーレ監督の八百長疑惑に揺れているなかでも、安定した試合運びを見せたことを高く評価している。
 
「平常心を失わず、自分たちが持つ技量をすべて発揮するのは簡単ではない。しかし、日本は冷徹にそれをやり遂げた。前回優勝チームとして胸に黄金のバッジをつけた日本の試合運びは、連続優勝に挑戦することも難しくはないことを示しているようだった」
 
 ただ、鋭い指摘もあった。サッカー専門誌『ベストイレブン』は、「日本、“誇示”はしたが、“圧倒”はできなかった」と題した記事のなかで、こう指摘している。
 
「日本は、彼ら特有のパスサッカーとペナルティーエリア内でイラクに脅威を与える動きを披露しながら、勝利を挙げた。 しかし、多くの機会を逃し、点差を広げて勝利を収めることには失敗した」
 
 さらに同誌は、「日本のパスプレーとゴール前のプレーは非常に印象深かったが、無敵ではない。イラクが前線からプレスを仕掛けると、日本は鋭さを失った。日本にとっては、イラク戦で弱点を露呈したわけだ」と続ける。
 
 そして最後は、「イラクが見せた“日本攻略法”が、果たして日本の牙城を崩さんとするチームにどんな影響を与えるか、注目される」と締めている。
 
文:慎 武宏(スポーツライター)
 
【アジアカップPhoto】日本 1-0 イラク