今野とともに64分から途中出場した清武。攻撃面では再三に渡りチャンスを作り続けた。(C) SOCCER DIGEST

写真拡大

 本田がPKで先制点を決め、1-0としたものの、日本はまたしても攻めあぐねた。得点機を作りながらも追加点は決まらない。押し込まれるシーンでは、DFがはね返しても、セカンドボールが拾えず、嫌な流れがあった。そして、攻撃面でもシュートのこぼれ球、相手のクリアボールを拾えない。30度近い気温に高い湿度。明らかに疲労が、プレーに悪い影響を与えていた。リードはわずか1点。勝利までに必要な追加点と守備力。チームを活性化させるために、60分を過ぎたころ、指揮官は、今野と清武をベンチサイドに呼んだ。
 
「1-0で勝っているし、しっかり守備から入ってくれって、今ちゃんとふたりで言われた。ボールを落ち着かせて、ボールを持てと。ただ、チャンスがあれば、2点目を取りたかったし、相手の隙があれば、前にボールを入れようと思っていた」
 
 初戦のパレスチナ戦では、遠藤に代わりインサイドハーフで途中出場。そして、イラク戦は乾に代わり、アウトサイドとしてピッチに立った。
 
「スタートポジションは外からで、そこから中へ入った。そうすれば、佑都くんが上がれるスペースと、バイタルを使ったほうが、真司くんとも距離が近いし、オカちゃんとも距離が近い。どんどん中へ入って行けば、圭佑くんにもパスが出せる。そういうバリエーション、選択肢が増えるのはいいこと。パレスチナ戦よりは、全然良かったと思います」
 
 パレスチナ戦直後には、香川との関係性についての戸惑いを口にしていた清武。しかし試合後は、ぐっすりと眠れたと話していた。「真司くんのプレーをサポートするような動きができればいい」と悩みすぎることなく、頭の中が整理できた。
 
 そして迎えた第2戦。前の試合とはポジションは違う。しかし、「インサイドハーフもアウトサイドも基本的に変わりはない」と話していた清武は、スムーズかつ機能的に攻撃を演出していた。
 
「最初の10分くらいは“追加点を”と考えていたけど、あとは時間の経過とともに、スペースもあったので、ボールを回して無理せず、慌てずに。相手が前に出てくるところを見ながら、上手く攻められたと思います。もちろん正直、点は欲しかった。シュートも何回か打っているので、その中で1点は欲しかった。そうすればDF陣も楽にしてあげられたはず。あの時間帯に入ったんだから」
 
 得点が決めきれていない現実はある。
「俺もゴールは欲しい。それを狙いつつも、チームのためにプレーしたい。この大会は総力戦ですし、1-0で勝てたのは良かったと思います」
 
 自身のシュートだけでなく、決まっていればゴールの起点と言われるプレーも何度かできた。初戦以上の手応えがあるのだろう。蒸し暑いミックスゾーンで、汗を流しながら、明るい表情で清武は話していた。
 
 試合を活性化させる存在となって、最後は無難に試合を終わらせた。ピッチで自分を表現し、求められた任務を達成できた充実感が、彼に笑顔をもたらしたのだろう。
 
取材・文:寺野典子