キレのある動きでチャンスに絡んだ香川だが、「決めきれなかった」ことを反省。結果=ゴールへのこだわりに「10番」としての自覚と責任とプライドが見えた。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本対イラク戦を中継していた現地テレビ局のアナウンサーが、前半10分に思わず声を張り上げた。
 
「Brilliant first touch!(見事なファーストタッチだ!)」
 
 右サイドで本田がボールを受けた瞬間に、香川真司はゴール前右へ斜めに走り込んでいった。鮮やかなファーストタッチでスピードを落とさずにボールを持ち出すと、迷うことなく右足を振り抜いたのだった。
 
「あの動きは練習のなかから要求していて、お互いに意見を言い合っていた。ああいうところで、スピードに乗りながらボールを受けられるようにすれば、自分のチャンスも増えるんじゃないかと思います」
 
 得点シーンにも絡んでいる。DFの股間を抜いた乾のラストパスを、ゴール正面できっちりシュートへ結びつけた。香川の一撃はGKの好セーブにあったが、こぼれ球を競り合った本田がPKを獲得する。
 
「あそこはやっぱり、決めきらなきゃいけないです。結果的にあの流れでゴールは入りましたけど、あそこは絶対に決めなきゃいけない」
 
 後半も決定機を作り出した。「あれだけスペースがあれば、チャンスに絡めるのは当然です」と本人は控え目だが、「暑さに慣れたことで、前半よりも動きやすかった」とも話す。
 
 見せ場は64分だ。カウンターの先陣を切ってドリブルでゴール正面へ持ち込み、左サイドの清武へつなぐ。ゴール前へ詰めた本田の一撃が右ポストに嫌われなければ、得点に結びついていたプレーだった。
 
「僕自身はフィニッシャーというか、シュートを打つ側として、もっとボールに絡んでいけるように動き出ししたい。今日もシュート数は足りないですし。最後の3分の1で、ゴール前で、どうやってスピードに乗った状態でボールを受けられるのかは自分の一番の良さなので、その場面をもっと増やしていけるように、自分の走る質であったりタイミングであったり、仲間とのコンビネーションだったりを高めていきたい」
 
 パレスチナ戦に続いて自己評価は厳しいが、同じ無得点でもプレー内容には改善の兆しが見受けられる。ただ、改善の歩幅を広くするためには、やはりゴールが必要だ。インサイドハーフとしては「試合を重ねることが必要」と前置きをしつつ、香川自身も得点という結果にこだわる。
 
「最後のところで決めきるかはとても大きな問題だと思うので、そこで決めきれる選手にならないと自分も成長していけないし、結果を残さないと上にあがっていかないと思う。そこは強くこだわっていきたいですし、そうですね、結果を残さないと意味がないと思っています。
 
 僕自身、もっとできる感触はあるし、こういうポジションでどうやって点を取るのかをつねに考えて、タイミングを見計らったりしていますし。このポジションでもチャンスメイクに徹するのではなくて、もっとゴールに絡んでいけるようにしたい」
 
 チームの戦いぶりには、悪くない感触を抱いている。「チャンスで決めきる、簡単なミスを減らす」といった課題をあげつつも、連勝という結果には表情を緩めた。
 
「ホントにみんなハードワークをして、うまく守備も耐えてゼロに抑えて、こういう戦いをモノにしたのはすごく大きい。チームが勝ったことに貢献できたのは何よりよかったですし、それが一番大事なので、チームが勝ちきれたことは、それだけはすごく嬉しく思います」
 
 最後のフレーズに、悔しさが滲む。まだ2試合目だというのに悲壮感さえ漂わせるメンタリティは、背番号10を背負う男の自覚と責任、それにプライドの表われに他ならない。

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