日本列島には5万年ほど前から縄文人が狩猟・採集をしながら暮らし、紀元前5世紀に朝鮮半島から弥生人が移住してきました。近年の遺伝学や分子生物学の急速な進歩によって墳墓などに残っていた古代人の人骨のDNA分析が可能になり、日本人の出自について新たな知見が積み重ねられています。

 体質的にお酒をまったく受けつけないひとは「下戸」と呼ばれ日本では珍しくありませんが、じつはヨーロッパやアフリカ、アメリカ大陸にはほとんどいません。これは医学的には、遺伝的な変異によってアルコールから生じるアセトルアルデヒドを酢酸に分解できないからですが、この変異型には顕著な地域差があります。

 これを「下戸遺伝子」と名づけるとすると、その保有率は中国南部の23.1%に対し、北部では15.1%と大きく下がります。北京では宴会で度数の強い白酒を一気飲みし、南に下るに従って度数の低い紹興酒が好まれるようになりますが、これは文化的なちがいというよりもアルコールに対する遺伝的な耐性によってもたらされたものです。

 中国南部と並んで世界的に「下戸遺伝子」が多いのが日本で、保有率は23.9%にのぼります。それも近畿地方を中心とした本州中部に多く、東北と南九州、四国の太平洋側で少なくなっており、これは弥生人が中国南部を起源とし、それが(正常型の遺伝子を持つ)縄文人と混血したためと考えられています。

 こうした知見から、最近では「縄文人と弥生人は仲良く共存していた」との説も唱えられていますが、果たしてそういい切れるでしょうか。

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