新たな年を迎え、今年はケガや病なく健やかに過ごしたい--そう願う中高年者は多いだろう。そんな人たちは今、“健康長寿”を長いスパンで捉え、将来的にも入院介護を受けない体づくりをしようと考え始めているに違いない。

 厚生労働省は、昨年7月に「健康寿命」の新しいデータを発表した。それによると、男性は71.19歳、女性は74.21歳が健康寿命となっている。健康寿命とは「介護の必要がなく健康的に生活できる期間」のこと。具体的には、他人の助けを借りずに自立して生活できることだ。その上限の平均が、先に挙げた寿命年数というわけだ。
 同省では4年ごとに、こうした調査を行っているが、今回は23万世帯余りを対象に行っている。4年前は男性が70.42歳、女性が73.62歳だったので、それぞれ0.77、0.59歳延びたことになる。

 健康寿命がこのように延びたのは結構なことだが、問題もある。同時に発表された日本人の“平均寿命”は男性が80.21歳で女性は86.61歳。つまり、健康寿命は平均寿命よりも、男性は約9歳、女性は約12歳も短いことだ。この間、死ぬまでの間は健康とはいえず、寝たきりや介護を必要とし、1人では生きられない期間があることを示している。
 もちろん個人差はあるが、ここをメドに「生涯」あるいは「死」というものをより身近に考える必要があるのかもしれない。

 現在、同省ではこの健康寿命を少しでも延ばすことを目標に掲げている。その目標は、2022年の平均寿命を男性が81.15歳で、女性が87.87歳と推計し、健康寿命の延び幅が平均寿命の延び幅を上回ることを目指しているのだ。そこで今、盛んに「メタボの次はロコモ」と言われ始めた。
 メタボは不健康で寿命にも関わると指弾されてきたが、実は近年、メタボより怖い現象として、新たに問題視され始めたのが「ロコモ」だ。ロコモとは“ロコモティブシンドローム(運動器症候群)”の略で、軽視はできない。
 この運動器とは、骨や関節、筋肉などのことで、年齢を重ねるごとにその機能が衰える。そして、転倒したり交通事故に遭い、ついに介護が必要になったような時を「ロコモ」と呼び、日頃から患わないように心掛けなければ、というものである。

 東京に「ロコモチャレンジ!推進協議会」という、地域に根差したロコモの認知向上と運動機能改善を目指す団体がある。同団体は日本整形外科専門医が参加し、サポート企業との連携でロコモの正しい知識と予防意識の啓発のための広報活動を推進している。
 また、日本で最大級のウオーキングイベント『日本スリーデーマーチ』('11年)や『スマートライフプロジェクトフェア』('12年・厚労省主催)に同協議会も参加し、“ロコモトレ”の実践や指導を行い、東日本大震災の被災地の仮設住宅などでも、お年寄りたちにロコモ体操などを指導しているのだ。

 こうしたロコモ防止のための運動の裏には、健康長寿の狙いもあるが、実はそれ以上の目的もある。医療費や介護費用の伸びを抑えることだ。
 「高齢者社会といわれ、医療費や介護に必要な国家予算も大きく膨れ上がっていますし、国民もそれ相応の負担増になっています。そこでロコモになってしまうのは困るので、骨折しない体や介護不要の健康づくりの啓発活動が求められ、全国の各地方自治体でも盛んに取り組まれるようになってきました」(整形外科学会の関係者)