本田圭佑の原点、母校・星稜の選手権優勝に誓う決意

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 2015年アジアカップ(オーストラリア)連覇に向け、いよいよ第一歩を踏み出した日本代表。優勝を争うライバルと見られるオーストラリアや韓国、ウズベキスタン、イランなどが順当に初戦勝利を収めているだけに、12日の初戦・パレスチナ戦(ニューカッスル)は絶対に勝ち点3を手に入れたかった。

 その重要なゲームの開始1分、日本は長友佑都(インテル)のクロスに岡崎慎司(マインツ)がヘッドで反応。ファーサイドからDFの裏を抜け出した本田圭佑(ミラン)にボールが通り、いきなりの決定機を迎えた。だが、背番号4のシュートはサイドネットを直撃。残念ながら先制点は生まれなかった。

「あの場面で入っていたら、その後の状況は違っていた? そうですね。そういったシーンをどれだけ作れるかが自分のコンディションのバロメーターの部分。そういうのがまだ少ないというのは感じてますし、いいボールもあまり出なかったんで、チームメートにも高い要求をしていきたいなと思います」

 自分のミスを素直に反省した本田だが、この場面以降、彼が得点チャンスに絡むこと非常に少なかった。前回大会MVPに対して相手も二人がかりで徹底マークしてきたこともあって、今シーズンのセリエA序盤戦のような軽快な走りや動き出しが見られない。体の重さは見た目にも明らかだった。「本調子の時に比べたら? 全然でしょ。コンディションのところですかね。自分としてはまだまだ上がっていく感じはしてますけど」と本人もピーク時から程遠い状態であることを認めていた。

 それでも、肝心なところでゴールを奪うのが本田という男である。前半42分に香川真司(ドルトムント)がペナルティエリア内で相手DFにファイルを受け、手にしたPKを、彼は確実に蹴りこんだ。4年前のカタールでも川島永嗣(スタンダール・リエージュ)が不可解な判定で退場になった第2戦のシリア戦で、プレッシャーがかかった場面でPKを決め、日本を勝利に導いている。仮にラッキーな形だったとしても、得点は得点。本人もそこには安堵感を覚えたようだ。

「やっぱり大きいですね。どういった形であれ、得点は自分自身に自信を与えてくれる。次に向けてまた得点を取るためのいい準備をしたいと思います」と彼はここから確実に調子を上げていくつもりだ。

 そうしなければいけないという責任を強く感じたのも、母校・星稜高校が長年の悲願だった高校サッカー選手権で全国制覇を成し遂げたという嬉しいニュースを耳にして、勇気をもらったから。ガンバ大阪ジュニアユース時代にユース昇格の道を断たれ、プロになる夢を追いかけて再起を図ったのが星稜だった。恩師・河崎護監督はそんな本田を大人として扱い、彼の意思を尊重しながら、チームの一員として献身的姿勢を持って戦うことの重要性を教えた。情熱的な指揮官は本田の原点とも言っていい存在なのだ。その河崎監督が選手権を控えた昨年末、交通事故に遭い、選手権で采配を振るえなかった。そんな恩師のためにも、後輩たちには栄冠を勝ち取ってほしいと思っていた。

「3年連続ですか、ベスト4。僕らの時はベスト4に行くのがすごい難しかった時代やったんですけど、今はそうやって3年連続行ってしまうような高校に成長して、この事があって、ホントに悲願ですよね。優勝っていうのがこのタイミングなのは、ホントに事故は不幸でしたけど、何よりも先生におめでとうと一言言いたいですね。回復に向かっているということは聞いてますから、1日でも早くまた元気な姿を生徒の前で見せてほしいですね」と本田はしみじみコメントしていた。

 しかも自身2度目のアジアカップ初戦に本田と1つ上の豊田陽平(鳥栖)という星稜OB2人が揃ってピッチに立ったのも、母校のタイトルに花を添えた。

「我々もそうですけど、同級生に橋本(晃司)ってのがフロンターレに移籍したり、あと大輔(鈴木=新潟)ですか、彼も頑張ってますし、星稜卒業生がちゃんと結果を出してやってかないとダメかなと。それが恩返しになると思うんで。とりあえず、先生にはおめでとうと言いたいです」と本田はさらなる奮起を誓った。

 この試合はパレスチナが格下でパンチ力に欠けていたため、彼自身のパフォーマンスが今一つでも日本は難なく勝利を得ることができた。しかしここから対峙するイラク、ヨルダンはクオリティが違う。仮に16日のイラク戦(ブリスベン)で取りこぼすような事態に陥れば、日本はグル―プ2位通過となり、準々決勝で強豪イランと当たりかねない。連覇の可能性が低くなるような状況を招かないためにも、大黒柱の復調は必須の課題だ。

文=元川悦子