パレスチナを寄せ付けなかった4-0の圧勝から見えたものとは――。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 一筋縄ではいかないアジアカップ。だが、初出場のパレスチナは王者・日本の敵ではなかった。
 
 8分、遠藤の先制ミドルが決まる。このゴールに、埋めようにも埋められない両チームの差が見て取れた。
 パレスチナはゴール前に人数を割いていたが、肝心の遠藤をフリーにしていた。遠藤なら、これだけ時間と空間を与えられれば決めるだろう。
 
 パレスチナがしっかりと守ろうとしていたのは間違いない。
 だが彼らは判断も動きも遅く、そのため日本は余裕を持ってプレーすることができた。ヨーロッパやJリーグでプレーするときよりも、3倍も4倍も余裕があったのではないだろうか。
 
 後半、パレスチナが退場者を出したが、これも前半から予想されたことだった。彼らは香川や長友のドリブルについていけなかった。ボールに行ったはずなのに、足しか残っていない。パレスチナ人にしてみれば、日本人は速すぎるのだ。
 
 力の差が明らかなゲームで、集中力を保ち続けるのは難しいことだ。前半で3ゴールが決まったことで、後半の日本はイージーなミスが増えた。途中出場した武藤や豊田を生かすこともできなかった。
 
 アギーレ監督は「前半はスピードとモビリティ、後半はミドルシュートが欠けていた」と話したが、後半の日本は動きの落ちた10人の敵を揺さぶるようなプレーができなかった。
 監督が言うようにもっと遠目から狙えば、敵を崩すこともできたと思う。とかく一本調子になりがちなところは、日本サッカー界の課題だろう。
 
 日本はまずまずのゲームをして勝点3を手に入れた。パーフェクトではないが、まだ初戦なのだ。これから調子を上げていけばいい。
 
 PKはともかく日本が決めたゴールは、どれも素晴らしかった。その中でも特に印象に残ったのが、岡崎が決めた2点目だ。最初、香川の強烈なシュートが敵に当たったのかと思ったが、記者席のモニターでリプレーを見直すと、岡崎がしっかりと頭で合わせていたことがわかった。
 
 敵味方が入り乱れた中で、あの鋭いボールをしっかりと枠に入れる。これがストライカーだ。
「ぼくはいつも軌道が枠を外れたら入れようと思っている。真司がいいシュートを撃ったと思ったけど、外れたと思ったので」
 
 あの瞬間、あの場所にいて、あのプレーができるのは岡崎しかいない。苦しいとき、彼に助けられることがあるだろう。
 
取材・文:熊崎敬