2アシストとPK奪取で復調の兆しを見せた香川だが、厳しい目で自己分析をしている。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

 ささやなか喜びのすぐそばには、厳しい自己分析があった。試合後の取材エリアで足を止めた香川真司は、「初戦は難しいですけど、無失点で終えて勝ったので、それは良かったと思います」と切り出した。
 
 インサイドハーフとしての自分はどうだったのか。香川の声に険しさが滲んだ。
 
「ボールを受けてからの質という意味では、まだまだ経験が必要ですし、難しさを感じるところはたくさんあります。それは試合をやるうちに慣れてくるところがたくさんあるし、修正するところもたくさんあると思います」
 
 ゴールには絡んだ。1-0で迎えた25分、長友と乾がギリギリでつないだボールを、ゴールほぼ正面から右足ダイレクトで狙う。
 
「こぼれ球が来た時に、一瞬ファーストタッチで前へ出るか迷いがあったんですけど、シュートという意識を持っていたので、あそこは打っていいと」
 
 前日の練習で語っていた「シュートを打たなければ始まらない」という想いを、そのまま具現化したプレーである。シュートは枠を捕らえられなかったものの、「抑えて打つことを意識した」というライナー性の一撃は、岡崎のヘッドにつながった。
 
 後半開始直後の49分には、左ショートコーナーから4点目を演出する。ペナルティエリア左で相手DFをかわしたターンは、香川らしいクイックネスを感じさせた。
 
「突破のイメージは良かったですけど、あそこはシュートという選択肢もありました。ゴール前ですから、仕掛けの意識であったり、そういうところでの精度は必要だと思います」
 
90分を通じて、パスワークにはきっちり加わった。ボールの流れにスムーズさを与えたり、テンポを変えたりする仕事は果たしている。ただ、持ち味を解放できたかを問えば、答えは「NO」だろう。香川自身はふたつの課題を上げた。
 
 ひとつは「プレーの精度」である。
 
「クロスの精度はもっともっと上げていかなきゃいけない。枚数は揃っているので。個人的にもそういうところの精度は、次の試合への課題だと思っています。中盤で受けた時の選択肢として前を意識するんですけど、そこでの精度が伴っていないところがありました。出し手になる回数が多いので、出しどころであったりは、試合を積んで……」
 
 改善していく、ということだろう。
 ふたつ目の課題は、ひとつ目に関するコメントに含まれている。受け手になる回数を、いかに増やしていくのかだ。
 
「一回パスを出してから前にランニングしていくことは求められるし、求めていくことが……そこは自分の良さですからね。パス&ゴーでどんどん前への推進力を持っていくことを、次の試合では……」
 
 見せていきたい、ということだろう。
 とはいえ、慌てる必要はない。アジアカップは始まったばかりだ。試合を重ねながら周囲との連係を図り、タイミングと精度を高めていけばいい。
 
アジアカップは結果が求められる舞台だが、練習と試合を通じた成長が期待できる大会でもある。パレスチナ戦を下敷きにしてイラク戦に挑み、イラク戦を反省材料にヨルダン戦に臨むといった作業を、繰り返していくことが大切なのだ。
 
「僕的にはあまり良くないというか、良くないと言ったら変ですけど、細かいところのミスを修正していきたい。技術的な部分をもっと上げていく必要があるのかなと思っています」
 
 指揮官アギーレの4-3-3で、香川は所属クラブとかけ離れたタスクを背負う。システムへのフィット感という意味では、チーム内でもっとも難しい立場にあると言っていい。
 
 だからこそ、彼には時間が必要なのだ。
 だからこそ、彼はチームのキーマンなのだ。