正しいセックスで、性病から身を守ろう! 医師が語る性感染症のいろいろ

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近年、ピルの普及やマスコミや雑誌などの影響で性行為への抵抗の少ない方が、若い層を中心に増えてきています。それにより、性感染症(sexually transmitted disease)が急速に増加。性感染症は読んで字のごとく性交またはそれに準ずる行為にともなって感染する疾患の総称で、病気は多岐にわたります。

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■性行為で感染する、病気

梅毒、淋病、軟性下疳、鼠径リンパ肉芽腫、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス、赤痢アメーバ、ケジラミ、クラミジアなどによる非淋菌性尿道炎、B型肝炎、AIDS、子宮頚癌などに関与するとされるヒトパピローマウイルス(HPV)感染症……など。

■性病って、どんな症状が出るの?

症状がはっきり出るものとしてはかゆくなる毛じらみ、初感染時に痛みを陰部に感じる性器ヘルペス、膿性の分泌物を尿道に認める淋病など比較的症状がわかりやすいものから、人によっては慢性的経過の後、便意頻回や血便がしばしばみられますが、症状はなく嚢子だけを排泄し続ける赤痢アメーバといったものもあります。また、感染していても症状が長くみられない可能性のあるヒトパピローマウイルスやHIV、クラミジアなど症状も病原体によってさまざまです。

一方、最近では性行為の多様化にともない、オーラルセックスが増えてきており、これにより喉にクラミジアや淋菌などが感染することもあります。最初は風邪かなと思っていてもなかなか治らず、抗生物質を処方しても治らないようなときはこれらも疑い、特別な検査をすることが必要になります。

■症状がないからと、油断は禁物。定期検査で守れるものがある

また症状に乏しいためご自身で積極的に検査を受けていただきたい病原体があります。その主なものは子宮頚癌の原因となるヒトパピローマウイルスと後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となるHIV、女性の場合は不妊症になりうるクラミジアです。パピローマウイルスに関してはそのものを検査することも可能ですが、子宮頚癌検診を定期的に受けることが大事になります。感染してしまうと子宮頸部の細胞が徐々に悪性化する可能性があり感染者の一部では子宮頚癌を発病します。非常に早い段階で見つかれば円すい切除という比較的、侵襲性の少ない治療で治癒が期待できます。

HIVもかつては不治の病と言われてきましたが感染がわかり次第、指定医療機関において抗ウイルス薬を処方していただき治療を継続することによりウイルスの増殖を抑えられ、発病を遅らせることができたり、今後さらに医学・薬学が進歩すれば根治できる機会が得られるかもしれません。心理的に苦痛はともなうと思いますがぜひ、保健所などで最後の感染機会から3カ月たった時点でHIV検査を受けていただきたいと思います。

またクラミジアも放置しますと女性の場合は卵管が詰まって将来不妊になったり強い腹痛をきたす肝周囲炎になってしまうこともありますので検査をしていただき、もし見つかった場合は同時にパートナーも検査を受け、ともに治療を実践してください。パートナーが感染したままですとご自身が治療してもまた再感染を受けてしまいますからね。

■まとめ

一番大事なのはまず感染から身を守ること。そのためには安易な性行為は避けるようにするとよいでしょう。結婚前にお互いにブライダルチェックを受けるという方法もあります。また、性行為を行うに当たってはコンドームを使うことが有効です。それにより、ある程度、性感染症感染のリスクを軽減できます。その際のポイントは、性行為の最初から最後までコンドームをきちんと付け、互いの粘膜や体液に付着しないようにすることです。

(35歳女性内科医/Doctors Me)

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