「過去3大会で簡単な試合は1つか2つ」…アジア杯の怖さを知り尽くす遠藤

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 12日の2015年アジアカップ(オーストラリア)初戦・パレスチナ戦がいよいよ明日に迫ってきた。12月29日の国内合宿スタートから千葉、セスノック、ニューカッスルで調整していた日本代表は11日夕方、決戦の地となるニューカッスル国際スポーツセンターで公式練習に臨んだ。

 前日までの猛暑とは打って変わって雨天となったこの日、現地は非常に過ごしやすい環境となった。夕方の気温は21度。試合日も雨の予報で、そこまで暑くはならない見通しだ。吉田麻也(サウサンプトン)も「正直、助かりますね」と顔をほころばせた。トレーニングは冒頭15分間のみの公開で、非公開の間にはセットプレーの確認が行われた模様。吉田も「ピッチ状態は多少、芝の張り替えてるところがありますけど、やってみてもそこまで大きな問題にはならないと思うし、明日は雨ってことなんでボールも滑ると思うし、よりスピーディーなサッカーできたらいい」と環境を味方につけながら、頭を使った戦いをしていく重要性を強調していた。

 その吉田もそうだが、日本にはこの大会に複数回、出ている選手も少なくない。その経験値はアジアカップ初出場のパレスチナより圧倒的に有利な点だ。その生き証人の筆頭が、今月35歳になる遠藤保仁(ガンバ大阪)である。反日ムード一色だった2004年中国大会、猛暑のベトナムでサウジアラビアに準決勝でまさかの苦杯を喫した2007年東南アジア大会、そして最初から最後まで苦戦の連続だった2011年カタール大会と、遠藤は2度のアジア制覇を経験している。2007年に連覇に失敗しているからこそ、どうすればアジア王者の座を死守できるかを遠藤は静かに考えているはずだ。

「自分から何か伝えなければいけないこと?特にないです(笑)。ただ、簡単には勝てない。それだけだと思う。実際、僕も過去3回出てみて、簡単に勝てた試合は1試合か2試合くらいしかない。18試合中2試合っていうことは、一大会で1試合あるかないかなので、強い気持ちを持って臨まないといけない。一瞬でもスキを見せるとやられる可能性があるので、そういうところで伝えていけるところは伝えていきたい」と遠藤は普段通りの自然体でこうコメントした。

 9日にクウェートを4−1で下したホスト国のオーストラリアでさえ、開始早々にリスタートから失点し、冷や汗をかいている。日本がパレスチナ相手に先に1点を奪われることもないとは言えない。そういう時、2014年のブラジル・ワールドカップ初戦・コートジボワール戦(レシフェ)のような混乱に陥ったら、連覇などは夢のまた夢だ。「もちろんブラジルとやるわけじゃないんで、落ち着いて解決できるとは思いますけど」と吉田は前向きに語っていたが、その余裕を最後まで持ち続けられてこそ、いいスタートを切れるはずだ。

 遠藤はどんな時もブレないメンタリティを持った選手。そういうところが実に頼もしい。チームが非常事態に陥ったとしても、冷静に周りの状況を見渡して、対処してくれるはず。そのベテラン力に期待して、重要な初戦の動向に注視していきたい。

文=元川悦子