無料語学アプリは学校教育でも「使える」のか

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語学教育において、オンライン学習が大きく伸びている。無料で提供されている学習手段のひとつ「Duolingo」は、学校での語学教育において自らが果たす役割を拡張しようとしている。同サーヴィスが実現するのは、学びの"高速PDCA"だ。

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エチオピア、マレーシア、モザンビークなどの発展途上国で、いま、英語学習市場がアツい(PDF)。こうした地域では、英語力こそが、より優れた職に就き貧困から抜け出すための唯一の方法と見なされることが多いのだ。

しかし、この考えには大きな欠点がある。こうした国々では、英語教師ですら英語が話せない場合が多い。だから、いつまでも英語力が身に付かない。

ルイス・フォン・アーンは、彼の開発したアプリが、その流れを大きく変える役割を果たすと考えている。彼が共同創設者に名前を連ねる Duolingo(デュオリンゴ)が提供する無料語学学習アプリは、2年半前にリリースされて以来、世界中で6,000万人ものユーザー数を獲得している。

Duolingo の成長の背景には、オンライン学習市場の成長がある。そしてオンライン学習は、特に学校外において、大きな伸びを実現した。しかしフォン・アーン氏は、学校での語学教育も極めて重要な役割をもっていると考えている。

だからこそといえるだろう、先日「Duolingo for school」という新しいプラットフォームが登場した。このプラットフォームを使えば、教師は生徒の活動をアプリで管理し、それに合わせて講義内容を調節できるようになるのだ。

「この機能なしで Duolingo を活用している(潜在的なユーザーである)教師は、現在、数千人いると思います」とフォン・アーン氏は語る。「この数は、あっという間に10倍にも膨れ上がると考えています」。

Duolingo の成功は、拡大するオンライン学習市場の一例だ。近年、Coursera や edX といったオンライン・ラーニングのプラットフォームが爆発的に成長したおかげで、質の高い教育を無料でオンライン受講できるという考えが主流になっている。

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まったく新しいビジネスモデル

フォン・アーン氏をはじめ、彼の共同創業者であるブレンダン・ミーダーやセバリアン・ハッカーは、Duolingo を大型教育機関向けではなく、あえて世界中の大勢の語学学習者向けにデザインした。彼らは、極貧地帯の英語学習需要は大きく、また増加しているにも拘わらず、ロゼッタストーンなどの外国語学習用の主流製品がいまだ法外な値段で提供されていることに異を唱える。

「彼らが英語を学ぶ主な理由は、貧困から抜け出したいからなのです」。グアテマラ出身のフォン・アーン氏は語る。「ですが、学ぶためには500ドルもの大金を支払わなければならないのです」

そこで彼らが開発したのは、無料でサーヴィスを成り立たせるための斬新なビジネスモデルだ。Duolingo で講義を受けた受講生は、ニュース記事の抜粋を翻訳するかたちで、学んだ内容をテストできる。そうして生まれた大量の翻訳を『CNN』や『Buzzfeed』などのメディア企業が買い取っているのだ。現在何百万人もの受講生(フォン・アーン氏によると)が、1日に数百件もの記事を量産している。


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TEDxCMUで行われたフォン・アーン氏のプレゼン「ネットを使った大規模共同作業」。

Duolingo の創業者たちがこの製品を学校向けにデザインしたかどうかに拘わらず、英語教師たちは徐々に、しかし確実に、面倒な調整を行いながらも、授業にこの製品を取り入れ始めた。フォン・アーン氏は言う。「全生徒に Duolingo を使わせようとすれば、こうした調整を行わなければなりませんが、それは非常に厄介な作業になります」。

Duolingo for school を導入すれば、教師は全生徒の管理が可能なアカウントを作成できる。それによって、誰がどの分野に長けている/劣っているのかすぐに判断できる上に、システム自体が生徒のパフォーマンスから学習し、最適な指導方法を探し出せるよう教師を支援してくれるのだ。

「例えば、形容詞を教える前に複数形を教えるべきか確認したいのなら、テストを行えばいいのです」。フォン・アーン氏は説明する。「これまでは、そうした疑問を解決するまでに何年もかかっていました。今年はある指導法を試し、来年は別の方法を試す…。10年くらいそれを繰り返せば、いずれ形容詞よりも先に複数形を教えた方がいいと判明するかもしれません。語学教師たちは、あまりにも長い間、こうしたプロセスを繰り返してきました。Duolingo は、そのプロセスを加速させることができるのです」

指導者への注意

しかしながら、一部の教育機関、特に大学レヴェルの教育においては、Duolingo のようなアプリが指導者 (教科書) そのものを代替することは決してないという警告もある。

「単語の確認や動詞の使い方を練習することはできても、文化的背景を教わることはできません」。デューク大学の語学教育・技術分野専門の教育技術コンサルタント、エリス・ミューラーは語る。

「無料で誰でも使えるというのは素晴らしいし、確かに語学学習に活用できるでしょう。ですが、これを語学学習のメインツールにすることはできない」

それでも、若い生徒が対面授業に加えて Duolingo を活用する価値は、ミューラー氏も認めている。「中毒性があるところが素晴らしいですね。宿題や単語の暗記を苦しんで行うのではなく、それにハマってしまう訳ですから」。

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