戦闘モードに入った遠藤保仁、4度目のアジア杯で見せる新たな一面に注目

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 1月3日のオーストラリア入り後、6日間のセスノック事前合宿を経て、12日の2015年アジアカップ初戦・パレスチナ戦の行われるニューカッスルへ移動してきた日本代表。9日は18時半から試合会場のニューカッスル国際スポーツセンター横の練習場で現地初調整に臨んだ。

 これまで猛暑の午前中にトレーニングしていた選手たちだが、この日は久しぶりの夕方練習。気温も20度台まで下がり、かなり動きやすい条件となった。前日に帰国の途についたトレーニングパートナーの中島翔哉(FC東京)を除く23人の選手たちは、4グループに分かれたトライアングルパス、速いペースでのランニングから練習を開始した。が、メディアに公開されたのは冒頭15分のみ。その後は初戦を想定した戦術確認が約2時間にわたって行われた模様だ。

 決戦の地でいよいよ本番モードに入ったことで、選手たちの表情も一段と引き締まった印象だ。日本人最多となる4度目のアジアカップを迎える大ベテラン・遠藤保仁(ガンバ大阪)は、「雰囲気は前からいいですし、実際に大会も始まりましたし、もっとそういう雰囲気になっていくと思います」と自然体を貫きながらも、静かに戦闘意欲を高めつつある様子だった。ちょうど練習終了時に開幕戦でオーストラリアがクウェートに先制されたことに話が及ぶと「中東相手に先制点を取られるとかなりやっかいなんで、自分たちもいい入りをしなければいけない」と気を引き締めた。最終的にオーストラリアのように4−1で相手を突き放すことができればいいが、やはり入りは慎重に行く必要がある。アジアカップの紆余曲折を経験している遠藤は誰よりもそのことをよく理解している。

「前回は前回でしっかりと入ったつもりでしたけど、引き分けスタートっていう形になった。前回大会やワールドカップを経験した選手も多いので、必ず勝ってスタートを切りたいという思いはありますし、やっぱり1位通過したいってのもある。特に初戦は大事な試合になるかなと思っていますけど」と遠藤自身が振り返る通り、2011年カタール大会は初戦のヨルダン戦で前半終了間際に失点を許し、窮地に立たされた。その失点場面に遠藤も絡んだ苦い過去がある。この初戦は吉田麻也(サウサンプトン)の劇的同点弾で追いついたものの、その後も七転八倒の苦しみを味わった。こうした難しさを若い世代に伝えていくのも遠藤の重要な役目と言える。マイペースの遠藤は、積極的にそういうことをするタイプではないが、いざという時はやってくれるはず。その存在感に期待したい。

 そして遠藤には、香川真司(ドルトムント)とともに攻守のカギを握るインサイドハーフとしてチームのスイッチを入れるというもう1つ重要な役目もある。香川がこのポジションへの戸惑いを拭いきれない中、いかにして遠藤が中盤をコントロールしていくか。そこは重視すべきポイントだ。

 遠藤は、「中盤でよりいい状況でボールを持てる環境にあれば、それだけゲームを支配できると思いますし、どちらにしても中盤の選手は非常に重要な役割を任せられる。攻守両面でしっかりと機能するようにしていきたいなと思います」と改めて強調した。

 本田圭佑(ミラン)も、「ヤットさん(遠藤)と真司のところで持った時が一番、得点率が高まる」と彼らとの連携を最重要視している。こうしたアタッカー陣を動かしつつ、いかに自分自身も得点に絡むのか。過去3度のアジアカップとは違った遠藤保仁の一挙手一投足をしっかりと見せてほしいものだ。

文=元川悦子