2015年に起きるブームは何か。様々な予測が出ているが、大前研一氏は3月に開業する「北陸新幹線」に注目が集まるのは間違いないという。これまでの新幹線開業と北陸新幹線との違い、導入される新幹線のファーストクラス「グランクラス」の魅力について、大前氏が解説する。

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 2015年に新たなブームとなることが確実なのが「北陸新幹線」だ。3月14日に金沢・富山〜長野間が開業し、速達タイプの「かがやき」(1日10往復)は、現在4時間前後かかる金沢〜東京駅間を2時間28分(富山〜東京駅間は2時間8分)で結ぶ。

 これまでも上越新幹線、東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線などが開業してきたが、それらの新幹線は終点の周辺に行くところや見るものがあまりない。

 しかし、北陸新幹線は別格だ。たとえば、加賀百万石の城下町・金沢の街は、日本三名園の一つである兼六園をはじめ、ひがし茶屋街、長町武家屋敷跡、近江町市場、金沢21世紀美術館など見所が豊富にある。

 金沢だけでなく、富山は「おわら風の盆」が有名だし、富山の隣の黒部宇奈月温泉駅は黒部峡谷と宇奈月温泉、金沢から北陸本線で25分ほどの加賀温泉駅は「関西の奥座敷」と呼ばれてきた加賀4湯(粟津温泉、片山津温泉、山代温泉、山中温泉)を擁(よう)し、近隣の観光地にも事欠かない。

 新鮮な日本海の幸、レベルの高い和食や和菓子など美味しいものが山ほどあり、加賀友禅、九谷焼、輪島塗、金沢箔、加賀蒔絵(まきえ)といった伝統工芸品も多彩だ。

 しかも、金沢から特急サンダーバードで1時間の和倉温泉をはじめとする能登半島、長野と糸魚川の間に位置する飯山および上越高原が首都圏からぐんと近くなる。

 とくに飯山は、冬になると私が毎週末スノーモビルを楽しみに通うほど大好きなところだが、周辺には斑尾(まだらお)高原や野沢温泉などの良質なスキー場と温泉がいくつもあり、春は千曲川のほとりに詩人の山村暮鳥(ぼちょう)が『風景』という27行の詩のうち24行を「いちめんのなのはな」と連ねて表現した、まさに一面真っ黄色の菜の花畑が広がる。

 また、北陸新幹線は車両(E7系/W7系)自体のデザインや色が洗練されていて美しい上、東北新幹線と同じくグリーン車よりも上位の「グランクラス」(旅客機で言えばファーストクラス)が1両(18席)導入される。通路を挟んで普通車は2席・3席、グリーン車は2席・2席の配列だが、グランクラスは1席・2席でゆったりしている。

 すでに長野新幹線の「あさま」にも導入されているので、試しに軽井沢へ行く際に利用してみたら、実に快適なのですっかりリピーターになってしまった。ハイエンド向けに「グランクラスで行く至福の金沢」というような高級パッケージツアーを作れば、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」と同様に大ヒット間違いなしだと思う。

※週刊ポスト2015年1月16・23日号