「AFCアジアカップ2015 公式サイト」より

写真拡大

 1月9日に開幕を迎えるサッカー、AFCアジアカップ2015。日本代表のハビエル・アギーレ監督が過去に八百長試合に関与していたとの疑惑に注目が集まっているが、今大会は同監督がそのまま指揮を執ることが濃厚だ。アジアカップはアギーレ体制となって初の国際大会であるとともに、2017年に開催されるFIFAコンフェデレーションズカップ2017への出場権もかかっているため、非常に重要な意味を持つ。方々から上がるアギーレ監督への非難の声をかき消す意味も含め、今後を占う試金石となりそうだ。

 今回は、日本代表がアジアカップ連覇を目指す上でライバルとなる国はどこなのか、各国代表チームの注目選手とともに紹介したい。

●タレント豊富な韓国

 今大会、トップシード国が集まる第1ポットから外れ、近年はアジアでも思うようなインパクトを残せていない韓国代表。しかし、前線のタレントは豊富で、優勝候補の一角であることは間違いない。

 欧州で活躍するアジア人の中で、最もタレント性が高いソン・フンミン(ドイツ/ブンデスリーガ、バイエル・レバークーゼン)とキ・ソンヨン(イングランド/プレミアリーグ、スウォンジー・シティAFC)は、大会のMVP候補筆頭といえるだろう。

 特にソン・フンミンは、米スポーツ専門チャンネル「ESPN」が選定した14年アジア選手トップ10で堂々1位に輝いている。ちなみに同ランキングでは、日本代表の岡崎慎司(ブンデスリーガ、1.FSVマインツ05)は2位、本田圭佑(イタリア/セリエA、ACミラン)は8位、キ・ソンヨンは7位に選出されている。ソン・フンミンは今季、ブンデスリーガとUEFAチャンピオンズリーグでそれぞれ5得点を記録しており、ミドルレンジからでもゴールを狙えるパンチ力がある上、スピードに乗ったドリブルを止めるのは困難だ。しかし、一方では気性の荒さから、相手選手を蹴り退場になるといった気分屋な一面もある。仮に日本代表が対戦することになれば、いかにソン・フンミンを調子に乗らせずに抑え込めるかが勝敗の鍵を握るだろう。

 もう1人ピックアップしたいのが、韓国代表の攻撃の中心となっている23歳の天才肌ナム・テヒ(カタール/スターズリーグ、レフウィヤSC)。18歳の頃、ヴァランシエンヌFC(フランス/リーグ・アン)でプロデビューし、韓国史上最年少で欧州1部リーグに出場した選手だ。早くからその才能が注目されてきたが、スターズリーグに移籍後はゴールを量産。14年9月にウリ・シュティーリケ氏が韓国代表監督に就任してからは代表チームでも躍動し、アジアで最も将来を嘱望される選手の1人といえるほどに成長を遂げている。

●名将が率いるイランも危険な存在

 日本、韓国の東アジア勢、開催国オーストラリアを除くと、最も優勝に近いのは、2014FIFAワールドカップ・ブラジル大会での善戦も記憶に新しいイラン代表だろう。現在、FIFAランキング51位とアジア最高位。なによりレアル・マドリード(スペイン/リーガ・エスパニョーラ)、ポルトガル代表などで監督経験のある名将カルロス・ケイロスの存在は大きい。「アリ・ダエイの後継」と呼ばれ、柔らかいタッチに特徴があるストライカーのカリム・アンサリファルド(リーガ・エスパニョーラ、CAオサスナ)。同じくCAオサスナで長年チャンスメーカーとして活躍しているジャバド・ネクナムなど、タレントは豊富にいる。組織力に定評のあるチームが名将に率いられ、どこまで上りつめることができるか注目だ。

●中東勢の注目すべき選手たち

 本大会では摂氏20度を超える高気温が予測されるため、コンディション調整も極めて重要な要素となり得る。日本、韓国、中国など、冬真っただ中の東アジア諸国と比べ、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦など温暖な気候の中東勢は体が暑さに慣れており、コンディション調整に関しては分があるといえそうだ。

 22年にFIFAワールドカップを開催することが決まったカタールは、豊富な資金力を生かして設備や環境面で充実しており、国民のサッカー熱も極めて高い。海外からも有能な指導者を招聘するなど育成に力を入れていることもあり、代表チームのレベルは年々上がってきている。

 また、もともと高い身体能力を持つ中東各国は、人材的にも世界の強豪国に見劣りしない。サウジアラビアには、超快速ウインガー、ファハド・アル・ムワラッド(サウジアラビア/サウジ・プロフェッショナルリーグ、アル・イテハド)や、ペルシャ湾岸諸国による国際大会であるガルフカップにおいて最優秀選手となったナワフ・アル・アビド(同、アル・ヒラル)がいる。カタールでは、06年にアジア年間最優秀選手賞を受賞し、今アジアカップ予選ではハットトリックを決めるなど復調気配の漂うハルファン・イブラヒム(カタール/スターズリーグ、アル・サッド)に注目したい。また、ポテンシャルはアジア1との呼び声も高く、「UAE史上最高の司令塔」と評されるオマール・アブドゥラフマンからも目が離せない。このように中東には、台風の目となってもおかしくない選手が顔を揃えている。

 アジアカップは1月9〜31日まで長期間開催される。大会開始までに、各国の注目選手を押さえて観戦すると、より一層楽しめるはずだ。
(文=栗田シメイ/Sportswriters Cafe)