「くらしの課題」
「帰っても生活が成り立たない」と不安

【ライブドア・ニュース 31日 東京】 ─ 東京都は、上限150万円を支給する独自の住宅再建支援を設け、05年度予算案に177億円を計上した。だが、ガスの影響で早期帰島を断念せざるを得ない「高濃度地区」の住宅には、都の支援は適用されない。三宅村は同地区の住民に、住宅の劣化保全のための修繕支援金上限50万円を支給、島内の村営住宅の家賃や固定資産税を減免する方針も示し、帰島の促進に努めている。

村か、都内か選択迫られる高濃度地区住民

 だが、村民が直面する現実は、お金だけでは解決できない。

 夫婦で避難生活を送る山本喜美代さん(63)は、帰れない「高濃度地区」の住民の一人。島には噴火直前に新築したばかりの。民宿に併設した家屋を残し、現在は目黒区内の公営住宅で暮らす。

 2月1日の避難指示解除を機に山本さんは、まもなく区営住宅を出る。島内に新築される村営住宅か、都内の公営住宅か、転居先の選択が迫られることになる。島内に戻っても民宿の再開は困難。都内に残る場合は、帰島支援は受けられても、入居と引き換えに都内への住所変更が必須になるという。山本さんは「(都内に残れば)支援はもらえても、三宅村民でなくなってしまう。複雑ですよ」と話す。

 「高濃度地区」には、空港や役場の周辺地域など島の中心街も含まれる。そのため、住民には自営業者も多い。年末の説明会で初めて「帰宅禁止」を知ったという店主は「あの土地じゃ、もう商売ができない。せめて買い取ってくれ」と村執行部に訴えた。

「もう帰れないSOS」

 帰島には経済的基盤の整備が不可欠との立場から、「帰島宣言」のタイミングに疑問を唱える声も少なくない。

 佐久間達巳村議(41)は、12月下旬の定例村議会で「たった2回の説明会で『合意形成が図られた』とするのには憤りを感じる。健康の安全だけでなく、生活安定のための支援策も順次行ってそのようなものに該当する人との対話を約束しないと村民は納得しない」と村民の声を代弁した。

 生活保護を受けているのは昨夏までで98世帯、4年間で約5倍に増えた。避難の際、ある店の看板には「必ず帰ってくるよ」とのメッセージが掲げてあった。昨年に一時帰島した住民によると、その看板には「もう帰れないSOS」と書き換えられていたという。

 今月27日の発表では、約3200人の村民のうち2-7月の半年間に少なくとも約1600人が帰島する見込み。昨夏の調査では約2000人が帰島の意思があるとしたのに対し、今回の調査で400人減ったことになる。

 「帰島宣言」への心境を聞くたびに、「島に帰っても生活が成り立たないという不安が強く、想いは複雑」と村民は口をそろえる。【了】

ライブドア・ニュース 常井健一記者

特集・三宅帰島(1) 「リスク・コミュニケーション」

特集・三宅帰島(2) 「交通インフラ」

特集・三宅帰島(3) 「産業の再生」

特集・三宅帰島(4) 「災害弱者」

特集・三宅帰島(最終回) 「支えたもの」