プラスチック食べるキノコを栽培するミニ農場プロジェクト

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環境にとって厄介者になってしまったプラスティックを、食糧にしてしまう。プロジェクト「Fungi Mutarium」でオーストリアのデザイナーが実現しようとしているのは、キノコをつかった不思議なリサイクルだ。

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最近の研究によると、海には少なくとも5兆片ものプラスチック廃棄物があるという。250,000t以上にも及ぶ海上のプラスチック廃棄物をどうするか。

オーストリアのデザイナー、カタリーナ・アンガーが出した答えは、「食べればいい」というものだった。

いまを遡ること2012年、イェール大学の研究者が、ポリウレタンを分解できる胞子 (Pestalotiopsis microspora) を発見した。ここから、この種のキノコがなぜプラスチックの毒性を保つことなく分解できるのかを探るリサーチ競争が始まった。

この発見からアンガーが考えたのは、”環境に問題あるもの”を”環境を解決するもの”に変えられないか、というアイデアだった。廃棄物を食物に変えられたらどんなに素晴らしいことか!

以前、『WIRED』では、アンガーによる「ハエの幼虫を食べられるお菓子に変える仕組み」を紹介したが、今回のプロジェクト「Fungi Mutarium」でも、彼女は同じことを狙っている。つまり、ふさわしくない原料と考えられていたようなものを、持続可能な食物生産の新しいかたちに変えようというのだ。


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PHOTO BY PARIS TSITOS

テーブル上の装置は「Schizophyllum commune」と「Pleurotus ostreatus」という2種類のキノコを栽培するミニ工場である。これらのキノコは食用とされるマッシュルームであるが、プラスチックに対する旺盛な食欲をもっているのである。

プロセスは次の通りだ。まず、プラスチックにUV光線を照射して殺菌したのち、寒天培地からつくられた卵状のポッド内におかれる(このポッドは「FU」と呼ばれる)。その後、FUに加えた菌糸体が、ゆっくりとプラスチックを消費しながらフワフワしたマッシュルーム状に成長していく。

生物分解性のあるものであっても、プラスチックを消費するには数カ月を要する。研究者たちは条件を最適化することで、生物分解性がないプラスチックも含め、プロセスを早められないか検討している。

一見すると異様なプロセスだが、仕上がりには食指を動かされる。寒天培地を”食べられる器”のように考えればいいわけで、アンガーらさまざまなレシピ(マンゴー&ニンジンFUとか、ヨーグルトがいっぱいのチョコレートFUとか)も考えているようだ。

このアイデアは、科学に基づいてはいるものの、実現可能とはまだ言い難い。アンガー自身、キノコを試食してみたというが(「すごく自然な味よ」と彼女は言うが)、完全に安全だと証明するには まだ多くの研究がなされなくてはならない。

とはいえ、研究室に閉じこもった科学研究と比べれば、いかにも挑発的なヴィジョンだ。

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養育器内のポッドに菌糸体を加える様子。PHOTO BY PARIS TSITOS

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