1月5日に非公開で行なわれた練習試合で、コーチングの声を出し続けた昌子が存在をアピール(写真は昨年4月の代表合宿)。(C) SOCCER DIGEST

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 前日の強い日差しから一転、1月5日、シドニーから北に150キロほど離れた田舎町のセスノックは、朝から曇が広がり、過ごしやすい気温の一日となった。
 
 日本代表は午前10時半から地元のLambton Jaffas FCと30分ハーフの練習試合を非公開で実施した。
 
 先発はGK西川、DFは右から植田、吉田、昌子、太田。MFは中盤の底に今野、インサイドハーフは右に香川、左に遠藤、アウトサイドには小林と清武、1トップには武藤が起用されている。
 
 前半19分に遠藤がPKを決めて先制。後半開始時に遠藤に代わり中島、香川に代わり乾がピッチに立ち、清武がインサイドハーフの右へ移動し、乾が左のアウトサイドでプレーした。後半2分に中島のゴールが決まると、同4分に昌子、13分に清武、20分に乾、29分に小林、30分に再び乾とゴールラッシュ。7-0で快勝した。
 
 現地でチームに合流したばかりで、「時差や気温差があり、キツかったが、慣れていかないといけない」と語る吉田は、新たに代表に招集された選手とのプレーを「4年間固定メンバーでプレーしていたので、新しい選手とやれるのは新鮮だった」と振り返り、「(植田や昌子は)若くて潜在能力がある。自分のいいところは盗んでほしい」と話した。
 
 前日は終了間際に途中出場したものの、ほとんどプレー機会がなかった昌子は、初めてのスタメン出場を絶好のアピールチャンスと捉え、「60分間切らさずに声を出すのが自分の目標」と試合に挑んだ。
 
「麻也さんとか今さん(今野)とか真司くんに『昌子、しっかりしゃべって俺らを動かしてくれ』と言われた。CBはどちらも声を出さないといけない」と、吉田と並んでも気後れせずに声を出そうと決意していた昌子を、経験者たちが後押ししてくれた。そして、試合終了後には手倉森コーチから「60分間、しゃべり続けていたね」と声をかけられたという。
 
「『僕の声帯は120分用なんで、大丈夫です』って答えたら、『次は24時間やな』って言われて、『それは無理です』って(笑)。そんなしょうもない会話をしました。でも、テグさん(手倉森コーチ)にそう言ってもらえたということは、自分の目標が達成できたんだなと思えた」
 2014年、鹿島でレギュラーの座を掴み、10月には代表初招集。負傷により辞退せざるを得なかったが、11月には満を持して代表入り。物怖じしない明るい性格でチームにもすんなり溶け込めた。だからこそ、今度はプレーでチームメイトの信頼を勝ち得なければならない。しかし、攻撃的な選手とは違い、守備の選手が与えられるチャンスはそれほど多くはないと、昌子自身も自覚している。
 
「なかなか代表では試合に出られないし、こういう試合がアピールの場。60分間だったけど、手を抜かず、しっかりやれた」という代表初先発の試合で、ゴールまで決めることもできた。
 
「右CKから大外に行って、麻也さんが胸トラしてボレーを打ったら、GKが弾いて、僕の左足に来たんで、『おっしゃあ!』って。左足だからちょっと不安だったけど。決まった瞬間も『やった』と思ったら、麻也さんに『クソー』って言われました、ごっつあん(ゴール)でしたけど、まあ1点は1点。でも、周りのみんなは、なんかシレッとしていて。張り切った俺がアホみたいでした」
 
 大きなガッツポーズを決めるほどに喜んでいるだろう昌子の姿が想像できる。そして、高い集中力で声を出し続けるその姿も。60分間、小さなプレーも無駄にはできないとあらゆることに気を配り、先輩のプレーを意識し、吸収しようとしていたに違いない。
 
「途中、監督から、ボールをパスして前へ運ぶのではなく、ディフェンス全体で持ち運んで、全体を下げないようにと言われました、すぐに今さんに当てて、前へ運ぶより、俺らディフェンスラインがボールを持っていったほうが、ライン全体が上がるから、それを意識しろと。