"春高バレー"として親しまれている全日本バレーボール高等学校選手権の本戦が、1月5日から東京体育館で行なわれる。1970年から41年間3月に開催されてきたが、3年生の参加のために今の時期になった。春高バレーの愛称は変わらない。

今大会、女子の本命は、インターハイ出場わずか3回目にして初優勝を成し遂げた大阪の金蘭会。注目選手はインターハイでチーム最多得点を挙げ、10月のアジアユースでも日本優勝の原動力となってMVPを獲得した1年の宮部藍梨(182cm)。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ。2020東京五輪に向けての育成プロジェクト、「チーム・コア」にも選ばれている。しかし、金蘭会はアジアユースと日程が重なった長崎国体(※)でも、宮部抜きで優勝。総合力の高さを見せつけた。
※第69回国民体育大会 長崎がんばらんば国体2014

 この金蘭会を倒す筆頭候補は、インターハイ決勝で戦った熊本信愛女学院か。2年連続で全日本シニアに登録され、「木村沙織2世」の呼び声も高い古賀紗里那がエースとしてチームを牽引する。彼女ももちろん「チーム・コア」のメンバーだ。181cmでレセプション(サーブレシーブ)にも入り、全日本の眞鍋政義監督にも「センスがある」と認められた大型ウィングスパイカー。

 前々回の春高ではベスト4に入ったが、昨年はまさかの一回戦負け。1年の時から注目を浴び続けてきた彼女は、しかしながら、まだ高校で全国制覇のタイトルを持っていない。この春高が最後のチャレンジとなる。

 「インターハイは2年連続で準優勝に終わりました。決勝の、最後の壁をどう乗り越えるか。しっかりと戦いたい」と力強く宣言する。

 木村沙織、荒木絵里香、大山加奈らを輩出した名門、東京の下北沢成徳も打倒金蘭会を狙ってくるだろう。今年は3年生が少ないが、国体ベスト4に食い込んでおり、今年度の総仕上げである春高での成長が期待される。キーマンは1年の黒後愛(くろご・あい/180cm)。中学の時は部員が6人だったときもあり、「どのポジションもやった」おかげで、パワーとテクニックを併せ持つ。父は宇都宮大バレー部を関東一部昇格に導いた名将、黒後洋氏だ。

 男子の本命は、女子の金蘭会と同じくインターハイと国体を制し、3冠を狙う東福岡。東福岡はバレーだけでなく、サッカーもインターハイを優勝、ラグビー部も春の選抜で優勝しているスポーツ強豪校だ。2年のエース金子聖輝(188cm)と、アタッカーとしてもセッターとしてもチームを引っ張る3年の永露元稀(えいろ・もとき/191cm)を中心に、伝統の拾って粘るバレーに新しく攻撃力をプラスして春高に臨む。

 インターハイ決勝で敗れた鹿児島商業、今年度唯一東福岡を破った長野の創造学園のほか、203cmのエース・鈴木祐貴を擁する秋田の雄物川も要注目だ。インターハイではベスト8どまりと苦杯をなめたが、今年度から指揮を執る元全日本代表主将の宇佐美大輔監督の元、大幅にバレーを作り替えてきた。昨年までは高いオープントス主体だったが、宇佐美監督の得意とした速いトスに切り替え、その成果を出したいところ。

 もう一つ、見届けたいのが東亜学園。昨年11月15日、3位決定戦で春高出場の切符をとったその夜に、小磯靖紀監督(当時)が突然倒れ、翌朝未明に53歳の若さで亡くなった。2001年に監督就任以後、春高バレー出場12回、優勝3回。「ミラクル東亜再来」と言われた。勝ち進めば3回戦で優勝候補・東福岡と対戦する。コーチから昇任した佐藤俊博新監督が「命を賭けてとった春高出場権。大事にします」と誓う。

 女子の有望選手は高卒でVリーグ入りすることが多く、大会終了後はそのまま既に開幕している今季のリーグに内定選手として出場する。また、世代交代をはかる全日本代表として今年日本で開催されるワールドカップに出場する選手も出てくるだろう。5年目を迎えた1月開催春高バレーから目が離せない。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari