女児が被害者となる犯罪が多発した2014年

写真拡大

 2014年も色々と事件がありましたが、気になったのは、女児をターゲットにした犯罪の多さです。

 1月は北海道札幌市で小学3年生の女児(9)が「買い物に行く」と言って外出した後、行方不明になるという事件が発生。翌月に逮捕されたのは同じ札幌市に住む無職、松井創(26)でした。

 帰宅途中の女児に「ちょっと来て」など声をかけて誘い、アパートの部屋に連れ込んだそうで、女児はビニールテープで拘束されていました。すでに起訴され、懲役7年の判決が下されています。   
 7月には岡山県倉敷市で小学5年の女児(11)が行方不明に。5日後に監禁容疑で現行犯逮捕されたのは岡山市に住む無職(自称イラストレーター)藤原武(49)でした。

 自室を防音にしたり外から鍵がかけられるようにリフォームしており監禁する気がまんまんの様子が感じられます。押収されたパソコンから出て来た書類のなかには「光源氏」という困ったタイトルで、当時の心境を綴ったファイルがあったのですが「これから飼育していく」などと書かれていたそうです。新潟で昔起こった少女監禁事件を思い出させます。   
 9月には兵庫県神戸市長田区で小学1年生の女児(6)が行方不明に。同月23日、自宅近くの雑木林にて遺体で発見され、その翌日に近所に住む無職、君野康弘(47)が死体遺棄容疑で逮捕されました。その後殺人でも再逮捕されています。

 同じく9月に千葉県八街市でも女子中学生(12)が連れ去られ暴行され約1時間後に解放されるという事件が起き、こちらも無職の鈴木将人(26)が逮捕されています。

逮捕された男たちの無職率の高さ

 ……と、こんなかんじで女児を狙った事件は枚挙にいとまがないのが2014年でありました。その中でも私が注目している事件があります。

 栃木県今市市(現・日光市)で2005年に発生した「吉田有希ちゃん殺害事件」で、栃木・茨城両県警は6月、当時7歳の有希ちゃんを連れ去り殺害したという疑いで、栃木県鹿沼市に住む勝又拓哉(32)を逮捕。

 勝又はこれに先立ち、実母の偽ブランド品販売を手伝っていたという別件で逮捕されており、宇都宮地裁で母親とともに裁かれている最中での逮捕でした。

 この勝又については細々取材を続けていますが、近隣住民によれば「ほとんど姿をみかけなかった、回覧板を持ってくるのにも車で来ていた」とのこと。回覧板回す距離を車で? ドライブスルー感覚!? なんともびっくりな引きこもり具合だったようです。

 実母の公判を傍聴したところ彼女は「月に1〜2万しか儲けがなかった」と言っていましたが、そんな少ない儲けで自分が生活し、引きこもりの息子を養えるとは思えません。この辺にちょっと隠し事がありそうです。   
 来年は、この辺の事件について各地方裁判所で公判が行われ、動機などが明らかになると思います。勝又に関しては犯人に繋がる直接的な証拠(凶器とか)が出て来てないので、木嶋佳苗の裁判のごとくけっこう争われるんじゃないでしょうか。

 彼らの裁判がまだ行われていないため、もしかして冤罪の可能性もゼロではない現状ではありますが、とにかく驚くのは逮捕された男たちの無職率の高さです。

 勝又は仕事が長続きせず、松井創は親の所有するアパートに住んでいました。君野康弘は前科アリの生活保護受給者、藤原武は犯行1年前ほどに実家に戻って来て、1人で暮らしており、どうやって生計を立てているのかは近隣住民も分からなかったようです。

 精神的に未成熟であるため同年代の成人女性を恋愛対象として見る事ができず、幼児に向かう……とは言われますが、精神的に未成熟であるからこそ社会との繋がりを保ち仕事を続けることができない場合があるのかもしれません。    
 また個人的には彼らのような働き盛りを面倒見てしまう親も問題だと思います。例えば勝又は基本、母親の仕事の手伝いで生きていましたし、松井創は親が自分たちの持ってるアパートに住まわせていた。

 そんなことをしてしまうと息子たちの社会との繋がりが消えてしまいます。社会や人との繋がりが切れることは犯罪を生んでしまうため、働き口がない→じゃあ親が面倒を見る、というのは、やめてもらいたいです。  

著者プロフィール

ライター

高橋ユキ

福岡県生まれ。2005年、女性4人の裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。著作『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)などを発表。近著に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)