香川の交代のタイミングも興味深かった。香川が途中交代したのは3試合。そのうちロスタイムに下がったカタール戦を除き、シリア戦では65分、韓国戦では120分中の87分に交代している。
 
 香川が相手にとって脅威なのは間違いない。しかし、本人も自覚しているように、どうしても「後半にパフォーマンスが落ちる」。その結果、後半はピッチの真ん中でボールを受けて、強引に仕掛けては止められる場面が増えていく。
 
 相手に与える脅威と、守備面におけるリスクを天秤にかけた結果、リスクへの傾きがザッケローニ監督の許容範囲を超えた時、それが交代を決断するタイミングに感じられた。その時のピッチ上のチーム状態に、指揮官の言う「攻守のバランス」が見て取れたのだ。
 
 交代策がやや遅い気もしたが、これはカードの少なさとも関係ある。今大会のチームにはもともとアタッカーが少ないうえに、松井の離脱で選択の幅が狭まってしまったからだ。
 
 5バックに変更した韓国戦では逃げ切りに失敗している。相手が4トップ気味にしてきたのだから、1枚多い5枚で凌ぐのはイタリアでは当然かもしれないが、フィジカル勝負で分が悪い日本は守りきれない場面が多い。指揮官はこうした日本の弱点も、今大会を通じてデータとして収集したはずで、今後に生かせば、問題はないだろう。